電脳筆写『 心超臨界 』

何もかもが逆境に思えるとき思い出すがいい
飛行機は順風ではなく逆風に向かって離陸することを
ヘンリー・フォード

道徳教育を見直す視点――高橋史朗さん

2018-06-13 | 03-自己・信念・努力
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★全国民監視システムの恐怖――石平さんhttps://tinyurl.com/y7oa9rz4
【「石平のChina Watch」産経新聞 H30.05.31 】

★政治嫌悪の高まり恐れよ――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.05.25 】https://tinyurl.com/y79pjo96

★日本「蚊帳の外」論は的外れhttps://tinyurl.com/ydx6kd87
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.05.17 】
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道徳教育を見直す視点――高橋史朗・麗澤大大学院特任教授
【「解答乱麻」産経新聞 H30.06.13 】

4月に全国に先駆けて開設された麗澤大学大学院学校教育研究科道徳教育専攻で、新たな道徳教育学の理論と実践の体系化を目指した研究が始まった。

筆者が担当するのは「臨床教育と道徳教育」という科目だ。子供が問題行動から立ち直った教育実践を理論化した臨床教育学の視点から、道徳教育の在り方を根本的に見直すことを目的としている。

道徳教育の研究指定校でいじめ自殺事件が起きたことは、道徳教育の根本的見直しを迫るものだ。どのような視点で学問的に見直す必要があるのか。

第一に、「価値観の押しつけ」批判から脱却し子供に内在する道徳性を発達段階に応じた徳育の内容と方法でいかに保障するか、という観点への転換。

第二に、道徳的価値の知的理解にとどまらず、「感じ、見つめ、深め、自覚させる」感知合流の道徳教育への深化。筑波大学大学院の「感性認知脳科学専攻」の「感性科学」の研究成果を参考にしつつ、道徳的感性を育み、道徳的価値の「自覚」へと高める内容と方法の確立。

第三に、道徳・心の教育についての危機管理的、対症療法的な発想に裏付けられたイデオロギー的固定観念からの脱却。いじめ等の問題行動は、教育者自身の子供観や教育観を問い直す好機であり「他を救うにあらず己を助くるにあることを悟る」(廣池千九郎)ことが必要。

第四に、アクティブ・ラーニングを重視し、唯一正解主義の攻撃的風土(教育的雰囲気)から支持的風土への転換。間違いや少数意見に対し「高き固き狭き心」でなく、「低い柔らかな広い心」電話番号受容し、対話を重視。

第五に、「多様な価値観」に向き合い、「多面的・多角的」な見方を育み、対立する他者と対話・協働し、新しい価値を創造できる資質・能力の育成。

対話を重視し、「考え、議論する道徳」を実践するにあたって、以下の3つの国際会議における議論にも学ぶ必要がある。

2002年にモラロジー研究所創立75周年記念事業として開催されたモラルサイエンス国際会議「グローバル時代のコモンモラリティーの探求」と、05年のユネスコ創立60周年記念国際シンポ「文化の多様性と通底の価値」で、「異なる文明に通底する価値」を見いだすことの必要性が強調され、廣池千九郎の「三方(自己、相手、第三者)よしの原理」も紹介された。

「通底する価値」とは一体何か。文化や価値観の多様性を認める「寛容さ」にとどまらず、「対話」を通して、共有可能な新たな価値を探求し、違いを活かし合い、補い合い、高め合うという考え方が含まれている。

「普遍的(universal)」という言葉には「一つにする」という意味あるので、「普遍的価値」ではなく、「通底する価値」という表現にしたのは、道徳教育を進める上でも極めて示唆的である。シンポの「最終公式声明」では、「和して同ぜず」の和の精神は「調和することを意味し」、「対話とは変容」であり、「対話のための理想的な場としての『道』」の文化の意義が確認された。

また、07年のユネスコ国際会議で提起された「伝統と近代の融合」「伝統文化の創造的継承」というキーワードは、縦軸の伝統的な国民道徳と横軸の近代の市民道徳の調和をいかに図るか、という道徳教育の今日的課題と直結しており、大きなヒントを与えてくれる。

こうした論点を踏まえ、「対話」を通じて自己と他者、共同体などとの関わりや「通底する価値」に気付かせ、自己を開くプロセスを通して、道徳的価値の「自覚」を深めていきたい。
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