電脳筆写『 心超臨界 』

一般に外交では紛争は解決しない
戦争が終るのは平和のプロセスとしてではなく
一方が降伏するからである
D・パイプス

人間通 《 持ち上げ――谷沢永一 》

2024-08-10 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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傑物(スター)がはじめて姿を現わすのはよい眺(なが)めであるが、人気を独占してながく居座ると癪(しゃく)に障(さわ)る。最後は憎んで難癖をつけて叩(たた)き落とす。その間を縫(ぬ)って自分をどれだけの期間、維持してゆけるかが勝負である。稀(ま)れに固定贔屓(ファン)を掴(つか)んだ強力な者も、支持者のおのずからな老齢化には施す術(すべ)もないであろう。


◆持ち上げ

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p54 )

人間が最も興味を持つ関心の対象は人間である。世間の話題が最後に落ち着くところは人間をめぐっての評判である。この広い世間は年がら年中、明けても暮れても人の噂(うわさ)話で持ちきりと見てよい。たいていは貶(けな)して罵(ののし)って憂(う)さを晴らすのだが、さすがに罵り腐(くさ)しのみでは座が栄えない。たまには持ち上げて囃(はや)したてる話題も求められる。そういう陽気で華やかな品評の種(ねた)として傑出した人材の出現が待たれている。天晴(あっぱ)れと思える人物を褒めそやす科白(せりふ)によって、自分に度量のあるところを披露したい願いが誰にもある。皆の衆の気持ちがそちらへ大きく傾くと、世に謂(い)う英雄待望論となる。世間は話題を沸騰(ふっとう)させてくれる花形(スター)が現われるのを待ち望んでいる。人間を観賞して花見気分になりたいのである。

この気運にうまく自分を乗せ、華やかに押しだし売り込む呼吸にきわどく成功した者が英雄(スター)となって喝采(かっさい)される。しかしまた人気者(スター)ほど辛(つら)い立場は比類ないであろう。いつも要求に応(こた)えてゆかねばならない。つまり話題の提供である。それが切れたら運の尽き、倦(う)かれてうんざりされて見放される。単に見捨てられるのはむしろ幸運な者である。いつの間にか世を挙げての嫉妬心(しっとしん)が発動する。傑物(スター)がはじめて姿を現わすのはよい眺(なが)めであるが、人気を独占してながく居座ると癪(しゃく)に障(さわ)る。最後は憎んで難癖をつけて叩(たた)き落とす。その間を縫(ぬ)って自分をどれだけの期間、維持してゆけるかが勝負である。稀(ま)れに固定贔屓(ファン)を掴(つか)んだ強力な者も、支持者のおのずからな老齢化には施す術(すべ)もないであろう。
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