毎日暑いですね。今日は興味深い記事を見つけたので紹介します。その記事は『核戦争防止国際医師会議 創設者 ラウン博士』の記事です。
バーナード・ラウン 1921年リトアニア生まれ、心臓病学の世界的権威。『核戦争防止国際医師会議(IPPNW)』共同創設者。1985年ノーベル平和賞受賞。直流除細動器の開発、不整脈と突然死の関係など、先駆的な研究で知られる。ハーバード大学公衆衛生学院心臓学名誉教授。
『医の原点は癒し』医療の原点は『癒しの芸術』である。『癒しの芸術』とは相対的な視野を持って人間の病に対処していく医療の事です。医師は病を治療すると共に、人間の心を癒す存在でなければいけない。『癒し』とは人間の『全体性』『尊厳性』の回復を意味し、現代の医療には、こうしたものへの視座が欠けている。例えば、ともすれば問診やカウンセリングより、高度な医療機器を使った検査が重用される。いわゆる、『病気を診て、病人を診ない』状態である。しかし、病人は、患部だけで苦しんでいるのではない。いつも心の中で自問自答を繰り返している。生命全体で苦しんでいるのだ。『一体、治るのだろうか』『これから、どうなっていくんだろう・・・』患者の心の叫びに、医師は必死になって耳を澄ますべき時が来ている。であるから、『癒しの芸術』は『聞く芸術』である。出来るだけ時間をかけて、患者さんの話に耳を傾けるべきだ。私は診察中、極力、時計を見ないようにしている。時間を気にしていて、『心ここにあらず』といった印象を与えないためだ。同様に、患者さんの話も途中で、さえぎらない。勿論、形式ではなく、本当に親身になって、相手の話を聞こうと努力する。この温かい心が安心を与え、励ましとなり病を治す力となるに違いないと思っている。いずれにせよ、患者さんに最大の誠意を持って接していく。これが医療の出発点である。反対に、患者さんへの尊敬を忘れた医療には、『人間』の顔が見えない。
『言葉は勝利を呼ぶ』『癒しの芸術』はもちろん、『聞く』事だけではない。『医師にとって言葉は、最も有効な癒しの手段』となる。こんな症例がある。心臓発作を起こし、余命いくばくもないと思われていた患者さんがいた。本人も、意思の絶望的な表情を目にする度に、もう駄目だと思っていた。ある回診の時。その患者さんの心臓の音を聞いて、私は周囲の医師に言った。『心臓がギャロップ(馬が飛び跳ねている様子)しているぞ』それを聞いた患者は確信した。『そんなに元気なら、私は大丈夫だ』事実、その後、患者さんは、みるみる症状が良くなり、退院するまでに回復した。ところが、事実はまったく逆であった。『ギャロップ』とは、医学用語で『重い心不全や心筋障害のときに発する特殊な音』を意味していたのだ。しかし、私の言葉によって、この患者さんは希望を得た。その瞬間、『心』で病気に勝ったのだ。まさに、言葉が生んだ奇跡。言葉の力は、想像以上に偉大である。ある時は讃え、ある時は励まし、ある時は叱咤して、患者さんの心を癒し、軽くし、勇気と希望を与える。まさに『生命の医師』を目指さなければならない。 -抜粋ー
この記事を読んだ時に、今まで色々な医師をはじめ色々な方々に出会ってきたなぁ~と改めて感じた。そして、色々な方に励まされてきたんだなぁ~と感慨を深くした私であった。(T_T) そして、今、私の周りにいて、私の治療に携わっていただいている方々に改めて感謝すると共に、その恩に報いるためにも頑張らねばと思うのである。
何しろ『治すも、治さないも、8割は患者の力』ですから!