孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  「ゼロコロナ」堅持 感染者増加もあって、党大会を前にコロナ対策強化

2022-10-11 22:40:17 | 中国
(10月11日、中国では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて上海などの大都市が検査を再び強化している。写真は新型コロナの検査のために並ぶ人々。上海で10日撮影 【10月11日 ロイター】)

【ようやく緩和された日本の水際対策】
日本では“ようやく”新型コロナ水際対策が緩和されて、外国人観光客の受入れもコロナ禍以前とほぼ同じレベルで受け入れることができるようになりました。

****訪日「夢かなった」 外国人の個人旅行、2年半ぶり再開****
新型コロナウイルスの水際対策が11日、大幅に緩和され、外国人の個人旅行が2年半ぶりに再開された。円安を背景とした外国人観光客の増加による経済効果が期待される。

東京国際(羽田)空港にはこの日午前、イスラエル、フランス、英国からの観光客が到着した。
イスラエルから来た69歳の女性は、「ずっと夢見ていたことがかなった」と語った。「新型コロナ流行の前から旅行を計画していて、待ち続けていた」(中略)

日本は新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)の初期に国境を封鎖。一時は日本に在住する外国人の再入国も禁止していたが、最近になり外国人を慎重に受け入れつつあった。

6月にはガイド付き団体旅行が認められ、その後、パッケージツアーに限り個人旅行も認められるようになった。

11日以降は、68の国・地域からの観光客はビザ(査証)なしでの入国が可能となる。入国者数の上限も撤廃され、団体旅行のほか個人旅行も受け入れられる。

ワクチン接種証明書、もしくは渡航前72時間以内に受けた検査の陰性証明書の提示は引き続き義務付けられる。

新型コロナの流行前、政府は東京五輪を開催する予定だった2020年までに訪日外国人旅行者数を4000万人とする目標を掲げていた。19年には過去最多の3190万人が訪れたが、21年は25万人にまで激減した。

新型コロナによる死者数は日本では約4万5500人と他の先進国を下回っているものの、今なお感染防止ガイドラインに従っている人が多い。先日には、宿泊施設が、マスク着用といった感染対策への協力に応じない客に対して宿泊を拒否できるようにする法案が閣議決定された。

マスクは法で強制されてはいないが、屋内や公共交通機関の中だけでなく、政府が混雑していない場合は不要だとしているにもかかわらず、屋外ですらマスクを着用している人は多い。

大半の施設では入り口に消毒液が置かれ、レストランではしばしばプラスチック製の仕切りが設置されている。 【10月11日 AFP】
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“ワクチン接種証明書、もしくは渡航前72時間以内に受けた検査の陰性証明書の提示”は必要ない国が多くなったなかで、日本の対応はまだ“面倒くさい”ものがあります。(今時は外国では検査もあまりしなくなったので、陰性証明書を取得するのもひと苦労するとか)

水際対策のルール以上に外国人にとって面倒なのは、記事後半にある日本社会で未だに続く新型コロナ警戒感でしょう。(9月始めにトルコに行きましたが、マスクを使用しているのは日本人観光客とその相手をする関係者だけといった感じでした)

【「ゼロコロナ政策堅持する」中国】
とにもかくにも日本の対応は緩和されましたが、お隣中国は未だ“ゼロコロナ”に固執しています。
(なお、中国以外で、日本より厳しいのは台湾。ようやくビザは不要になりましたが、「隔離」をなくした10月13日からの緩和でも「入境後7日間の自主防疫」が必要です。台湾の厳しい対応は、ゼロコロナで感染者を封じ込める中国への対抗でしょうか)

****中国共産党機関紙「ゼロコロナ政策堅持する」論説掲載 ネットからは批判の声も****
中国共産党の機関紙「人民日報」は11日、新型コロナウイルスへの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」を守らなければならないとする論説を発表しました。

発表された論説では、新型コロナウイルス感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」について「持続可能であり、守らなければならない」と強調。「死亡率などが極めて低く抑えられ、社会と経済を安定的に運営することができている。現段階で感染拡大を抑える最もよい選択だ」と政策を評価しています。

また、「オミクロン変異株は感染力が強く、高齢者や基礎疾患のある人には大きな脅威だ」としたうえで、日本や欧米各国のように感染対策を緩和する政策をとれば「人々の生命や財産にさらに深刻な被害をもたらす」などと主張しています。

この論説を受け、中国版ツイッター「ウェイボ」では「これはおかしい」「100年ロックダウンすれば最も安全だ」「来世では中国人にならない」など批判や皮肉めいたコメントも一部見られていますが、批判的意見は当局により削除されているものとみられます。

16日に開幕する中国共産党大会を前に、こうした論評をあえて掲載する背景については、国民の「ゼロコロナ政策」に対する反応を確かめる狙い、との見方もあり、党大会でどのような言及があるのかも注目されています。【10月11日 TBS NEWS DIG】
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【感染者増加 党大会を前に対策強化 住民無視の過剰対応も】
中国では、習近平国家主席が3期目を目指す中国共産党大会を16日からに控え、人事や党規約改正など習近平体制強化に向けた動きが報じられています。

その話はまた後日にするとして、その党大会に向けて、国慶節連休の旅行者増加を受けて感染者も増加している状況もあって、新型コロナ対策も一段と強化された感も。

****上海などで新型コロナ感染者増、検査強化へ****
中国では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて上海などの大都市が検査を再び強化している。

感染者は今週に入り8月以来の水準に増加。今月初旬の国慶節の連休で国内旅行が増えた。

上海の10日の新規感染者は28人と、4日連続で2桁を記録。全国の感染者は2089人で、8月20日以来の高水準を記録した。

感染者は、内モンゴル自治区の景勝地など観光地に集中しているが、今週に入り大都市での感染も増えている。

上海市政府は10日遅く、16地区全てで住民の定期検査を11月10日まで少なくとも週2回実施すると表明。現在の週1回から検査を増やす。旅行者やホテルなどの検査強化も指示した。

同国に住むある英国人は外出中に自宅マンションが48時間封鎖されたことを知り、ホテルにチェックインしたが、このホテルも感染者が見つかり封鎖された。その後、自宅マンションの封鎖期間も延長され、家族が離れ離れで暮らしているという。

人民日報は11日の論評記事で「大規模なリバウンドが起きれば、感染が拡大し、経済・社会に深刻な影響が出る。最終的な代償は高くつき、損失は拡大するだろう」と指摘した。【10月11日 ロイター】
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なかには感染者ゼロでもロックダウンする都市も。

中国では感染者が出た地方の当局は、その責任を中央から問われますので、「この党大会を前にした重要な時期に感染者を出すようなことがあれば地方政府幹部の首が飛ぶ・・・」という警戒でしょうか。
それにしても、住民生活への配慮は一切ありません。

****中国、感染ゼロでも都市封鎖 党大会前コロナ厳戒****
中国では第20回共産党大会開幕を16日に控え、各地で新型コロナウイルス対策が厳格化されている。

党大会会場の北京から数百キロ離れた山西省永済市は、感染が確認されていないのに事実上の都市封鎖(ロックダウン)を発動。上海市や江蘇省蘇州市も9日までに大規模なPCR検査を始めた。
 
交流サイト(SNS)では過剰だとの批判や、党大会のためだとする指摘が相次いだ。中国は7日まで国慶節(建国記念日)の大型連休だった。人の移動で感染が増えた地域がある。
 
永済市は7日夕、市外への道路を封鎖し、市内の車両通行も制限、原則外出禁止を発表した。10日午前0時まで。【10月9日 共同】
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【「上に政策あれば、下に対策あり」 一番の問題は不満・批判を許さない体制】
その他、中国のコロナ関連ニュース。

****ゼロコロナ政策の中国で食品捨てる映像に批判殺到****
厳しいゼロコロナ政策が続く中国で、感染予防を理由に食品を捨てる様子がSNSに投稿され、批判を浴びています。

黒竜江省 佳木斯市防疫担当者 「外から来たものは全部捨てろ!!」

これは中国東北部、黒竜江省・佳木斯市で撮影されたとされる映像。男性がゴミ箱に捨てているのは、コメです。卵も、つぶして捨てています。さらに豚肉も…

佳木斯市では、新型コロナの感染拡大を防ぐためとして、食品を捨てる映像がSNS上に拡散、市当局に批判が殺到しています。これを受け、市当局は「担当者の責任追及を始めた」と釈明、事実上、謝罪に追い込まれました。

佳木斯市の26日の新型コロナの新規陽性者は73人。中国では依然として厳しいコロナ政策がとられていて、市民の不満が高まっています。【9月27日 TBS NEWS DIG】
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****ゼロコロナ政策で6回封鎖の中国の村、「解除しろ」と住民千人以上が抗議…警察が連行も****
香港紙・明報は28日、新型コロナウイルスの新規感染者が確認され封鎖措置が取られた中国広東省深セン市福田区の一部地区で、1000人以上の住民が解除を求めて抗議活動を行ったと報じた。一部住民は警察に連行されたという。

報道によると、付近で新規感染者が1人確認されたことを受け、当局が26日夜、封鎖措置を発表。その直後に抗議活動が福田区沙尾村で発生した。

この村は2020年以降、断続的に6回封鎖措置が取られており、耐えかねた住民が路上に集まり「封鎖を解除しろ」と叫んだという。現場で鎮圧にあたった警察数百人と住民が衝突し、一時混乱状態に陥った。【9月28日 読売】
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前出の感染者ゼロでもロックダウンした山西省永済市同様、過敏な地方政府の対応、住民無視がうかがわれます。

一方、下記はちょっと怖い。「監視社会」が一層強化されるようです。

****中国、住民組織「社区」を強化 王朝想起と批判、コロナで監視***
中国で住民組織「社区(コミュニティー)」に新たな役職を置く動きが出始め、王朝時代の相互監視システムのようだと批判を買っている。社区は「ゼロコロナ」政策で力を発揮してきた。住民監視の役割がますます強まっている。

社区は団地などを単位に設置された自治・互助組織とされ、社会的弱者の見守りや住民の紛争調停などに当たる。共産党の「指導」が末端まで浸透しており、住民の監視システムの面も持つ。

「“十戸長”を募集」。四川省の社区が出した通達が最近、SNSで物議を醸した。同省威遠県の8月の募集によると10〜20世帯ごとに十戸長を置き、各家庭の状況を把握する。【10月8日 共同】
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いったん強化された監視機能は、コロナが終わっても残るのでしょう。

中国では「上に政策あれば、下に対策あり」とよく言われますが、下記“なりすまし”もそんな一例でしょうか。

****大型連休後に感染増で上海“再封鎖”の動き PCR検査の“なりすまし”増加 ゼロコロナ政策堅持への批判も****
国慶節の大型連休が明けた中国・上海では、新型コロナの感染が再び拡大。建物の封鎖も相次いでいます。一方でPCR検査の“なりすまし”も増えています。(中略)

こうした中、増えているのがPCR検査の“なりすまし”。別人から依頼を受けたという女性がレインコートを着替え、検査を受ける様子が記録されていました。

上海では今も72時間以内の陰性証明がないと公共交通機関の利用などができませんが、警察によると9月以降、80人以上が“なりすまし”検査で罰金の処分を受けたほか、2人が起訴されたということです。

こうした混乱の中、中国共産党機関紙はきょう「ゼロコロナ政策」について、「持続可能であり守らなければならない」との論説を掲載。これについてネット上では「おかしい」「100年ロックダウンすれば最も安全だ」といったコメントも見られましたが、批判的意見は当局が削除しているとみられます。【10月11日 TBS NEWS DIG】
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“72時間以内の陰性証明がないと公共交通機関の利用などができません”・・・ということは三日に1回は検査を受ける必要があるということで、「その時間がとれなかった場合はどうするんだ!」というのは日本的常識。中国では問答無用。

不満のSNSは削除される・・・ゼロコロナ対策をとる、とらないはその国の事情もあるでしょうが、こうした批判を許さない体制というのが、日本人から見て中国社会の一番の問題に思われます。
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