孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

主要国(G8)首脳会議が開幕、しかしその役割には限界

2009-07-08 21:59:03 | 世相

(“flickr"より By oxfam international
http://www.flickr.com/photos/oxfam/3700156699/)

【単なる中間ステップ】
イタリア・ラクイラで今夜から開催される主要国首脳会議(サミット G8)は、今回で35回目。
75年のフランス・ランブイエで開催された最初のサミットは6カ国でしたが、翌年カナダが加わりG7体制へ。
当時は“先進国首脳会議”と呼ばれていました。
98年からロシアも加わりG8体制に。名称も“主要国首脳会議”に変更。

当初、世界を動かす会合のイメージがありましたが、最近はどうも影が薄くなってきており、麻生総理の出席も「どこか行ってるの?この大変な時期に・・・」といった感じです。
それは単に回数を重ねてマンネリ化してきたというだけでなく、国際社会のパワーバランスの変化が原因のようです。
G8はその役割を終えたのではないか・・・との意見もあります。

****G8サミット、廃止へ秒読み段階?****
2009年07月07日 22:53 発信地:パリ/フランス
世界的な金融危機に対し無力だった主要国(G8)首脳会議は、世界経済に対する統制力をゆっくりと失いつつあり、さらに今度は会議自体の廃止さえもが呼びかけられている。
主要8か国の英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、米国は、前年9月に金融危機が発生して以降、方針の声明を発表する以上のことを行うことができなかった。そして難題の解決を、G8に中国やインド、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカなどが加わった主要20か国・地域(G20)に受け渡してきた。ロンドンで4月に金融サミットを開催して金融危機に立ち向かったのは、G20だった。

英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究者、リチャード・ポルテス氏は、「知りうる範囲でいえば、長年にわたってG7とG8会議から実質的な結果は生まれていない」と語る。ポルテス氏は、「中国やインド、ブラジル、南アフリカを引き入れずに、環境や貿易、国際金融に取り組むことは不可能」と述べる。
米カリフォルニア州立大学バークレー校のBarry Echengreen氏も、「世界最大の外貨準備高の国(中国)が関与することなく、国際通貨システム改革が実行可能だという考えは、ばかげている」と語る。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相も、G8体制に疑問を投げかけている。メルケル首相は前週、「われわれが直面している問題は、もはや先進国だけで解決することが不可能だ」と述べていた。

G8の数少ない擁護者、カナダのトロント大学のジョン・カートン氏は、G8には「果たすべき重要な役割がある」と反論する。カートン氏は、「G20首脳会議は、基本的に、G7とG8が設定した原則や方針に従っているだけ」と述べる。

とはいえ、国際情勢の専門家らの大半は、G8の終わりは近いとみている。
インド国際経済関係研究所のRajiv Kumar氏は、「G20を存続させ機能させたいのなら、この2つ(G8とG20)は共存できない」と語る。
スイス、ジュネーブにある国際関係大学院研究所のCharles Wyplosz氏も同様の考えだ。Wyplosz氏は、「G8を終わらせる準備をしなければならない。G8がG20に主要な問題を受け渡した以上、この小規模グループを維持してゆくことには基本的な矛盾がある」と語った。【7月7日 AFP】
**************************

今回のサミットでは、G8首脳だけの会合は初日のみで、二日目に新興五カ国を加えた拡大会合と主要経済国フォーラム(MEF)、三日目にアフリカ、食料問題に関する拡大会合を開く予定になっています。
経済問題にしても、温暖化問題にしても新興国との調整なしには前進がはかれない現実を反映したスケジュールでもありますが、フランス政府高官は「実質的にはラクイラ・サミットは(9月に米ピッツバーグで開かれる予定のG20に向けての)単なる中間ステップだ」と述べています。

【胡錦濤国家主席の帰国で実質的議論も困難に】
今回、中国の胡錦濤国家主席が新疆ウイグル自治区での混乱を受けて急きょ帰国したことで、改めて新興国、特に中国の国際的枠組み決定における影響力の大きさを感じます。
胡錦濤国家主席はラクイラ・サミットの機会を利用し、米ドルに代わる世界的な準備通貨の検討を開始する必要性について訴える予定でした。
今回のサミットでは温暖化対策も主要な議題となりますが、イタリアのベルルスコーニ首相は、G8の温暖化対策の取り組みについて、中国から「強い抵抗」を受けていたことを明らかにしています。【7月8日 ロイター】
胡錦濤国家主席帰国後も、中国代表団はラクイラに残り一連の会議に出席することにはなっていますが、トップ不在では、その参加は形式的なものなります。

“初日のG8のみの討議には影響はないものの、温暖化問題や世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)をめぐる協議は中国が米国と並び大きなカギを握る。9日以降のG8と新興国による会合の行方は、中国トップの不在という緊急事態で、実質的な議論が成り立たない可能性が出てきた。”【7月8日 時事】

【日替わりメニュー】
そんな“限界”が囁かれるG8ですが、日本からの出席は今年が麻生総理、昨年は福田前総理、一昨年が安倍元総理、その前は小泉元総理・・・と“日替わりメニュー”状態。
6年、7年と同じ首脳が出席する他の参加国の中で、首脳間の信頼構築も難しいでしょうし、日本のかげもますます薄くなるような気もします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする