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「呪いの言葉の解き方」

2019-08-09 | 気になる本

上西充子(2019)『呪いの言葉の解き方』晶文社

本書は労働、ジェンダー、政治をめぐる呪いの言葉をどう見るか?自分のせいか社会のせいか、言い方を分かりやすい言葉で問いかけている。

友人、上司、先輩などに言われた言葉、偏向したマスコミの言葉など、一度立ち止まって考える時代である。トランプ大統領のツイッターに見られるように、アメリカファーストの名のもとに自国と自分の利益以外を、フェイクであっても攻撃する。同じ流れにアベ首相、最近は維新、河村市長(トリエンナーレの不自由展示)にもみられる。

会話(対話)の中で、全て反論しなくても自分の考えをわかりやすく、短く、本質を言うことは普段の勉強も必要であるが、いくつかの参考になる視点がこの本にある。(カッコ内と*は私のコメント)

労働で、「嫌なら辞めればよい」か。著者は「なぜ、あなたは呪いの言葉を私に投げるのか」、「あなたは私に逃げ出せないように、縛りつけておきたいのですね」と問い返すことだろう。不当な扱いにどう対抗するか、労働組合、労基署、弁護士に相談すれば解決の糸口もみえることもある。(長時間労働、残業未払い、パワハラなど不法が蔓延する中、労働組合が弱体化、労働法制の無権利化、労働者の分断の中で、言えないことが多い。月100時間を超える残業時間で上司のパワハラならうつ病、過労死も避けられない。闘いながらも辞めるのも1つの選択肢である、と私は思う。ただ、泣き寝入りで辞めるのは得策でないだろう)。

「野党は反対ばかり」。これに対し「反対ばかりではない」というより、返す言葉は「こんなとんでもない法案に、あなたがたはなぜ賛成するのか?」である。(参議院国会答弁でも、「年金改悪の財源を示さない」と首相は一方的に主張していた。米からの武器爆買いの財源も無茶である。憲法審査会の議論がないというが、憲法を守る首相が自ら言うのはどうか?野党が要求している衆参の予算委員会を開かず、議論をしない)。

デモは権利。柄谷行人のスピーチ、「韓国では20年前まではデモが出来なかった。軍事政権だったから。それをデモで倒した。日本でデモが少ないのは、国民主権を自分の力で、闘争の力で獲得していないから。敗戦による占領軍に与えられたものである」。主権を手放してしまったら、選挙は政権にお墨付きを与える形式だけになる。政権が暴走しても、止められなくなる。おかしいことはおかしいと言い、あるべき社会を求める。そのための発言と行動をみずからが行い続ける、それが国民主権ということだ。「デモなんかで何が変わるの?」⇒「デモに行かずの何が変えられると思うの?」「そんなにデモが怖いんですね」。他の文例集に、「働き方改革」⇒人件費圧縮。「岩盤規制に穴をあける」⇒岩盤規制じゃない。セーフティネットだ。「政治の話はしたくない」⇒じゃあ暮らしの話をしましょうか。結局、選挙で勝つしかないでしょ?⇒選挙までだまっていろと?嫌です。などがある。

*ほかにも政治家などはもっともらしい「呪いの言葉」を、意図的にばらまく。この呪縛からどう解かれるか。読書し行動し対話し学ぶことだろう。私は今「レトリック」に興味がある。「実質を伴わない表現上だけの言葉。表現の巧みな言葉。巧みにごまかされる。(「大辞林」第3版③)

政治的背景に、民主主義が後退しファシズムに進んでいる。小選挙区制度であり、自民党の日本会議化、憲法を無視した「戦争法」、官僚の忖度行政、内閣人事局、日銀の中立性崩壊、マスコミの首相と会食、法曹界の自立性喪失があると考える。個人的には言葉のレトリックに、自己責任論(貧困、銃社会)、積極的平和主義、歴史修正主義、日米安保安上がりなどに興味がある。

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