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鈴木宣弘「世界で最初に飢えるのは日本」を読んで

2024-04-26 | 気になる本

鈴木宣弘(2022)『世界で最初に飢えるのは日本』講談社新書

抜粋(スタート+H) (  )内は私のコメント

食料自給率実際は種と肥料の海外依存度を加えると10%である。

食料、種、肥料、えさなど海外に依存する度合いが大きいと、いざという時に国民の命を守れない。貿易を増やすことが安全保障ではない。国の安全保障は目先の経済効率だけを考えていては視野が狭い、命や健康に関わる食の安全性についてもコスト削減の名の下に、きり詰められてしまい重大な危険が生じかねない。

中国は大豆を1億Ton輸入、日本は300万Tonに過ぎない。

2008年の世界食糧危機のきっかけはオーストラリアの干ばつだった、本当はバイオ燃料。

一日三食芋の時代がやってくる、でも芋はすぐに作れない。

コロナショックで外国人の行き来が止まり、長野、群馬など大規模野菜農家では、人手不足で収穫ができなくなると見こして、作付けを1/3に減らした。

 原油価格高騰、物流コストの上昇。食料品高騰。(アベノミクスの金融緩和で円安物価高)

 政府には食料安全保障重視する考えがない。岸田政権は経済安全保障という方針を掲げ、軍事面のみ安全保障の予算を倍にする。(JAcom 改正基本法の致命的な欠陥として「食料自給率向上と積極的な備蓄論を欠いた食料安全保障論」を挙げた。)

 食料生産は大量の水を使う。カリフォルニアは淡水が少ない地域。

 EUは食品の製造・流通に安全基準の決定、プロセスを問題し、農薬などに独自の厳しい基準を設けている。それは消費者の力だった。アメリカ追従の日本はそういう対応を取っていない。日本の農産物は美味しくて安全という神話は崩れた。日本は最もゆるい農薬基準の国。(丸本「食料戦争」著者は力説した。貿易主義・外国依存主義は、①食糧の独立を軽視し、②国防の基礎を危うくし、③結局亡国となる。農業を国の本とし、食糧自給自足国を掲げ、かつ、玄米と日本的パンの普及も提唱した。)

 日本は2020年度約37%の食糧自給率、本当はもっと低い。農産物は種やひなを輸入に頼っている。小規模で非効率な農業に頼らざるを得ない。日本人にアメリカ産の小麦を売るために、「米を食うと馬鹿になる」という主張が載った本を書いた人がいる。

 食料は武器であり、標的は日本。宇沢弘文は、米国の日本占領政策の柱は、①米国車を買わせる、②日本農業を米国農業と競争不能にして余剰農産物を買わせる

 政府は食料自給率を上げるつもりがない。いざというときに芋を作れる一時的な食糧増産可能な「自給力」さえあれば良いとしている。

 2010年、尖閣諸島の問題で中国は日本向けのレアアースの禁輸措置を取った。ウクライナ戦争でロシアは小麦の輸出を止めて脅しをかけている。また肥料の原料となるカリウムの輸出も止めた。(食とエネルギーが自給できるアメリカは経済制裁の影響はない)

 2020年度で生産額ベースでは67%ある。しかし食料危機をどうやって回避するかはカロリーである。果樹などの特産品で、産業として収益を上げても、食べ続けられない。

 食料はお金で買える時代は終わった。台湾でアメリカ産豚肉の輸入反対デモが起きた。

 日本では収穫後の農薬散布はできない。アメリカからのジャガイモを輸入するために、防カビ剤の散布が必要となる。

 農薬が効かない「耐性雑草」。日本の農業は過保護という嘘、①農業予算は少ない、アメリカは穀物輸出補助金だけで一兆円も使う。日本農業の3つのウソ、①日本の農業は高関税で守られた閉鎖市場だ、②日本は世界から遅れた農業保護国であり政府が農産物の価格を決めて買い取っている。③農業は補助金漬けである。

 農家の大規模化は無理。有機農業で中国にも遅れをとる。

 データ化とAI・ロボット・ドローンの導入によるデジタル農業は、既存の農家にとっては脅威になる。そうしたデジタル農業は、「今だけ、金だけ、自分だけ」の目先の自己利益を追求すると、本当に食糧危機に備える「食の安全保障」や地域コミュニティの維持、環境への配慮がおろそかにされる。

 3方良しとは売り手よし買い手よし世間よし。ナチュラルオーガニック、アニマルウェルファー、biodiversity、そして美しい景観である。

 農業と学校給食は農家にとってとても重要である。有機米や有機野菜の需要に使う地元のおいしい有機野菜を使った給食は、子供たちへのまたとない食育である。防衛費と異なりこの金額は基本的に国産農産物の購入や、国内で働く人の人件費に当てられる経済の波及効果も大きい。給食を公共調達としている国は多い。給食単価が安すぎる。(ものづくりは車だけでない。産業のバランス、地域循環。ミサイルは税負担だけ。車の輸出の反動で農林業が衰退)

 ローカルフード法、①地域循環に基づく安全で安心な食のシステム。②遺伝子操作、食の安全、健康環境、動物福祉、遺伝子操作されない。③地域の種取、新品腫育種支援、④種子の保全、シードバンク。⑤市民参加政策決定計画立案、⑥予算の確保など。(アレルギー)

 生産者と消費者は運命共同体である。共同体が機能不全に陥る、それが日本の食料供給システムの危機を招いている。最大の理由はわたくしの暴走にある。自己の目先の金銭的利益追求が暴走、全体の利益が損なわれている。適切な富の分配と持続的な資源環境の管理を9実現しなければならない。(SDGs、JA産直の閉鎖・上郷、花園、朝日ヶ丘、下山スーパー)

 豊田市の押井営農組合では都市の住民と米の栽培契約を結ぶ時給家族という取り組みを行っている。この取り組みはCSA地域支援型農業の一形態として関心が集まっている。

 消費者の行動が世の中を変える原動力になる。日々の買い物の中で安くても危ない商品を避け、少しだけ高い地元の安心安全な食品を買うこと。学校給食でも子供達にリスクのある食品を提供されないようにしよう。

 市民国民を犠牲にして我が身を守るリーダーではなく、我が身を犠牲にしても市民国民を守る覚悟があるリーダーが必要である。お金を出せば購入できることを前提にした食料安全保障は通用しない不測の事態に国民の命を守ることが国防とすれば、国内の食料農業を守ることこそ本当の要、それこそが安全保障だ。

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