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伊藤千尋「凛凛チャップリン」を読んで

2022-03-01 | 気になる本

伊藤千春(2020)『凛凛チャップリン』新日本出版社

 好きな俳優のトップはチャップリンとオードリヘップバーンである。チャップリンは面白いだけでなく、平和と自由を愛する人間性が素晴らしい。オードリーはかわいいだけでなく、ボランティアなどの人類愛の人間性も素晴らしい。チャップリンの伝記など少しはかじっているし、DVDも持っている。この本を購入したのは、二人がスイスに住んでいる共通項があったからである。機会があれば、元気なうちにスイスを訪ねたい。以下、本より気になった箇所のメモ書きとコメントである。

 チャップリンの生い立ちは貧しく、苦労の連続であった。しかし、母親のパントマイムから多く学んでいる。チャップリンは親日家であり、日本にも数度訪れている。しかし、命を狙われた危険もあった。アメリカで成功したチャップリンもマッカーシズムで追われ、安住の地スイスを選んだ。

 1929年アメリカは大恐慌であった。チャプリンはその前に株を売り抜けていた。それはチャプリンが自分の頭で考えて経済を理解し、行動したからである。ときの流れを理解し、周囲の空気に染まることなく自分の知識や感覚で判断を下し、断固ととして実行するからだ。(現在、アメリカはインフレ傾向にあり、FRBは金利をあげている。日本も物価が上がりつつあるが、借金大国で金利が上げられない。消費増税、コロナ不況で賃金も上がらず、ロシアの戦争で、アベノミクスのつけが日本のデフォルトに繋がる恐れがある、と私は思う。)

 ガンジーとの対談で、なぜ機械に反対するのかの質問に、イギリスの支配に反対するためと応えている。独裁者の最後のシーンで6分の演説には感動したが、どうしてそんなに長く撮ったのか、その理由と彼の思想が良くわかる。独裁者ではファッシズムに対抗するために闘おうとしたが、戦争そのものが持つ非人道性を指摘した。戦争とはようするに国家規模の大規模な人殺しであり、暴力的な手段で争いを解決すべきでないと主張を打ち出した。さらに戦争によって利益をえる経済を批判した。(日本の中国への侵略は資本家の利益拡大であった。)

自由な国を標榜するアメリカは、中世の魔女狩りのような暗黒時代に突入する。中でも目立ちやすいのはハリウッドであり、最初のやり玉にあがったのがチャップリンであった。

 チャップリンは核兵器について、「科学は、思慮に満ちた方向性や責任感を持たずに、あれほどの破壊力を持つ武器を政治家や軍人に渡してしまった。そのため今では、地球上のあらゆる生命体の運命が、そうした者たちの手に握られている」。まさに、今のプーチンである。アベ元首相はプーチンを支持し、日本も核保有をすべきだと主張している。

 1992年オックスフォード大学の文学博士の名誉学位を、チャップリンに贈られた。彼は小学校中退である。学歴でなく貧しい人生から学び、能力の開花の結果である。好きな作家・松本清張も学歴はなかったが、能力を開花した人である。 

 スイスが中立なのは、どこかと同盟を結ぶならそれ以外とは敵対する。結ぶならすべての国と結ぶべきであるが、そうでなければどことも同盟を結ばず中立を貫くのが一番安全である。中立は他国が支持しなければ効果ない。またスイスは中立であるが完全武装である。

 今改めて、「独裁者」や「モダンタイムス」など見ようと思う。

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