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中央銀行は持ちこたえられるか

2017-08-16 | 気になる本

河村小百合201611『中央銀行は持ちこたえられるか-』集英社新書

 日本の国家財政90億円、GDP500兆円の状況で、借金は1200兆円に膨れ上がっている。マイナス金利のため財政は当面パンクしないが、日銀が国債をどんどん引き受ける。ある時急激にインフレが来る。その時はコントロールが効かない。p17.アベノミクスにより、黒田日銀総裁は内閣と一体となって、世界が驚く異常な金融緩和を進めている。デフレ脱却のためというが、2%目標すら達成できていない。国の財政計画を一体で考えるべきで、借金を返す目処がなく「事実上の財政ファイナンス」(p26)に陥ろうとしている。中央銀行は持ちこたえられないのではないか?これらがグラフや図表を使って解説されている。

 本著は、裸の王様のように、誰もが言えなかったことをズバリ言い当てていると思う。中央銀行はいつまで持ちこたえられるか?そのX年はバブルの崩壊する2020のオリンピック前後かもしれない。国会論戦、選挙で政党選択も必要であるが、個人としても資産、貯金をどう対処するかも気にかかる。

p21.財政危機に陥ったギリシャでさえGDPの180%で、日本は200%を超えている。日本の国債は日本人が持っているから大丈夫などと言ってられない。(山家悠紀夫さんも著書でそのようなことを言っていた。論争を聞いてみたい)。「第2次大戦時に財政破綻している」p2070金利は永続しない、金利が上がり日銀は債務超過、制御不能でハイパーインフレになる。p35.高いインフレになれば、得する人は借金を多く持っている人・政府である。p194.リスクのツケは国民に回る。

 政府が担保のない借金をどんどん増やし、返す当てがない。p40.個人は国債を持っていなくても、日銀や市中銀行が持っている。p26.日銀は80兆円ベースで国債を買い入れ。p44.破綻すれば銀行の個人預金さえ、引き出しを制限されかねない。p45.預金閉鎖、通貨切り替えも過去に日本はやった。それでも、p92.出口戦略・正常化戦略を示さない。40.ギリシャは53%元本を棒引きしてもらった。p193.EUがチェックしている。危機意識も持って対応している。p180.納付金が0、元本返済、p189.ヘッジファンドに狙われるなど、リスクが高まっても出口戦略が政府も示せないp229p214.インフレ・ターゲットを狙っているフシもある。p192.IMFはリフレ派の安倍政策を後押ししてきたが、16年の声明でリスクの危険性を指摘している。

*(日銀の委員で慎重派は全て代えられている。議論がない、説明できない、責任取らない。加計学園、森友学園、南スーダンの日報問題のように、証拠隠滅、国会での虚偽答弁と流れが似ている。政府は財政再建、福祉のためと言いながら、軍事費は増やし、オリンピック、原発再稼働、リニア新幹線など莫大な公的事業を強行している。今回は金融からの分析であるが、財政からの分析した本はないか探しているので、お勧めがあれば紹介いただきたい。)

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