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自治体の都市計画最前線

2008-08-17 | 都市計画・まちづくり
柳沢、野口、日置『自治体都市計画の最前線』学芸出版社、2007年
第一線の実務者が、簡潔で分かりやすく記述しています。現行制度からも地域にあった創意工夫で活かせる実践事例です。私の関心事例からいくつか取り上げてみます。
 真鶴町「美の条例」(卜部)
リゾートマンションの開発反対にし、美の条例で対抗した。05年には公聴会も開催された。条例では個人住宅の適用と、基準の住民との乖離を指摘している。改正都市計画法の特定用途制限、都市計画提案、開発許可基準などにより、自主条例から法的拘束力の強い委任条例の環境変化があった。しかし、決定的なものに景観法があり、条例の再生を図り調整を進めている。真鶴は湯河原との合併をしなかった。大きな自治体は権限が拡大し、自治体に専門家がおけるという意見があるが、私は小さな自治体だからこそ先進的なまちづくりが、住民と協働でできるものだと確信した。
 京都市「3項道路」(福島)
建築基準法では4m未満に接する建築物は、中心から2mセットバックする義務がある。それによって路地の風情が壊されてきた。京都市では歴史的な町並みを前提に、3項道路の指定を行っている。それでも2.7mであるから、私は消火栓など防火対策を考慮して、1.8mまで緩和の方策が必要と考える。あるいは建築基準法上の道路でない、2m程度の歩行者専用道路を積極的に市街地に配するべきである。2項道路問題は路線での対応、面的な住環境整備としての対応が重要である。
 国分寺市「まちづくり条例」(松本)
地方分権時代でのまちづくり条例は流行ったが、実効あるものは関東を中心にしか普及しなかった。国分寺市では防災まちづくりでも先進である。ここでは地域力を「行政力×市民力×協働力」とした設計思想が興味深い。開発許可を手続きなどにより調整する制度は狛江市の方が先行していた。国分寺市では建築確認申請に先立つ届け出制度と、国分寺崖線を保全する思想は注目に値する。課題として、景観法との調整、2項道路、ミニ開発との問題があるとしている。まちづくにおける土地利用、開発許可への住民参加は愛知では遅れていると私は思う。
 ほかに大阪市の練担設計制度、神戸市の住環境計画制度、足立区の53条一括地区計画、練馬区の都市マスからの土地利用の総合条例など興味深い。判例では国立マンション、宝塚パチンコ、高知シネコンなどが掲載され、イントロでは原告適格の拡大が述べられている。都市法そのものの分権と住民参加は不十分であるが、自治体の工夫次第では前進でき参考になる事例が多い。(写真はKL寺院)
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