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山田「債権大国日本の危機」④

2024-04-29 | 気になる本

1$158円、円安・物価高でも、日銀は4月の政策会合で現状維持を決めた。債権大国日本で利上げできない、打つ手なしのジレンマがある。財務省も口先介入だけである。物価高で国民のくらしは火の車、自民党は裏金で脱税の疑いもある。3補選で野党が完勝は当然である。武器の爆買い止めて、消費税減税を。大企業・大富豪には応分の税金を!

第三章

国庫の赤字が経済規模GDPの2倍を超過し、破綻の崖っぷちにある。国内外の大手金融機関は国庫の赤字と日銀トレードをテコに、資本蓄積を増進している。第二次安倍政権下の政府と日銀との政策連携は、「デフレ脱却」「2%の物価上昇」が最重要課題とされ、歴史上例を見ない異次元金融緩和政策となって展開された。政府は国債の市中消化基盤である民間金融市場の動向から相対的に独立し、ほぼ無制限に国債を増発できた。日銀による国債の引き受けを禁止した財政法第五条は事実上空洞化した。しかも日銀の国債保有額は国債発行残高の5割を超えてしまい、国債価格の下落は日銀を債務超過に陥れるほどのリスクとなった。

日本を世界最高の政府債務大国に押し上げたのは、日銀信用に依存した国債増発メカニズムがフル回転しているからである。日銀は買入れで国債の金額を2008年12月に改訂し、これまで年14.4兆円スペースで行ってきた買い入れを、年16.8兆円にする決定を行った。2016年度では国債買い入れ額119.2兆円となり、国際増発の歯止めはなくなり無制限に増発できるようになった。。

第二次世界大戦時の日本の軍事資金調達のために、増発された国債は長引く戦時下での窮余の一策として、日銀の直接的な国債引き受けに依存した。戦後になると戦渦への反省とインフレ懸念から、財政法第五条によって禁止された。だが日銀が政府から直接国債を引き受けなくとも、民間金融機関が公募入札で落札した国債を日銀が買い入れ、その買い入れ額が国債発行額に匹敵するようになると、財政法第五条の規定は空文化する。しかも「財政ファイナンスを行っていない」と答弁していた。

日銀の国債買いに依存した国債発行メカニズムが作動すると、国債が際限なく増発され政府債務が累積するだけではない。日銀が国債を大量に買い支えているので、国債価格は下落することなく、官製バブルが演出される。政府債務の負担を軽減化し、財政破綻を先送りできる。(そして2020年からのコロナである)財政破綻が表面しないのは日銀による国債の大規模購入が継続され、日銀信用に依存した国債の発行と財政資金調達が行われたからである。

何らかの事情で国債価格が下落した場合、日本銀行は資産の劣化と巨額損失に逢着し、日銀信用は毀損する。対外的には急激な円安を誘発し、輸入物価を押し上げ、それと連動して国内物価の高騰インフレを誘発し、国民生活を直撃する。

日本財政と日銀は財政ファイナンス日銀トレードによって異次元のリスクを抱え込んでしまった。日銀が発行残高の5割台の国債を保有する事態は歴史的に未経験であり、日本の中央銀行と円はどうなるのか予断を許さない時代が到来している。

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