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山田「債務大国日本の危機」②

2024-04-16 | 気になる本

 山田博文(2023.11)『国債ビジネスと債務大国日本の危機』新日本出版社②

 政府の借金は国民1人当たり約1,000万円である。MMT(現代貨幣理論)は印刷すればよいというが、借りたものはいつか返さなくてはならない。今は仮換えて先延ばししている。2023年度末で1441兆円である。GDPの2.6倍で、主要国では最悪である。戦費に使った戦後を超えた。その時は、預金封鎖、デノミが行われ、ドッジライン、農地改革などGHQの強権もあって収束した。戦前のこの反省から、国債など返す見込みのある建設国債に限っていた。アベノミクスの異次元の金融緩和で、国債の半分以上を日銀が持っている。国家財政の歳出の1/4ほどが借金返済に充てられている。しかも、財政は単年度PBが黒字にできず、コロナもあって予備費と補正が国会審議もまともにされていない。国民には防衛費拡大、社会保障削減、消費税10%など負担増である。さらに円安・物価高であり、自民党の裏金問題である。大企業は利益をあげてもトリクルダウンはなく、実態経済もままならない。政府はNISAなどで「貯蓄より投資」を呼びかける。失われた30年で弱い経済にしたのは、アメリカいいなりの自公政権である。次の総選挙で政権交代し、経済再生をしないと国民の暮らし命が守れない。

 本書によれば、以下のとおりである。(  )内は私のコメント。

 国債市場はバブル市場となって膨張してきた。政官財癒着の構造のもとで、大企業・金融機関などの国家財政への「タカリの構造」(政治献金、パーティ券購入、裏金)が戦後日本の資本の強蓄積を支えた。政府が債務で大型公共事業を行い、巨大企業と国債ビジネスで蓄財した民間金融機関の利益である。国民に負担を押し付ける前に、政府債務の返済に当たって最優先されるべきは、大企業や金融機関による応能負担の原則である。金融商品としての国債は、内外の国債投資家に利殖の機会を提供する。1京円という天文学的な規模の国債売買市場が出現し、長期国債金利が主要国で最低の0%台という国債バブルが進行している。

 JPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといった現代のカジノ型金融資本主義を主導する米の5大金融資本は、世界の金融・株式市場を支配する。世界各国の国庫の赤字や政府債務が増えれば増えるほど、「彼らの致富の主源泉」はグローバルに増大する。(日本の謝金地獄は、今の政権では抜け出せない)

 戦後初めて普通国債が解禁されたのは、1965年度以降の高度成長は財政に依存し、公共事業関係費の大判振る舞いに支えられた。(小泉構造改革で一度は公共事業縮小に向かった)

1970年代のオイルショックと構造不況以降、財政赤字が表面化し始め、バブル経済崩壊の90年代後半以降、財政赤字が深刻化し、「赤字国債特例債」が増発された。

 国債投資家はコンピュータプログラムを利用し、1秒間に数千回(?)の売買を繰り返し、年間で1兆円程の売買高を達成する。現代資本主義は2008年のリーマンショック後、実態経済停滞化で超金融緩和政策が採用され、国債バブルが継続している。株式・不動産バブルが崩壊した1990年代以降、財政資金を動員した各種の経済政策が実施されてきたが、国民生活は深刻さを増す一方、経済成長も実現せず、「失われた30数年」である。日銀の仕事は景気対策でない。(物価の安定である)各国の中央銀行法は政府から独立を担保されている。歴史の教訓によれば、中央銀行が政府に服従し「打ち出の小槌」のようにマネーを供給すると、紙幣は紙くずになり、生活を破壊するスーパーインフレーションなる。1945年から49年がそうであった。

 銀行はバブル崩壊の時、公的資金で救済したことなど忘れ、国家財政と中央銀行への「タカリの構造」で、自行の利益を追求した。政府債務が破綻すると、納税者の税金に依存する。ギリシャ、夕張などは財政破綻した。「過剰な公的債務の返済は8つ存在する。増税、歳出削減、経済成長、低金利、インフレ、戦争、外資導入、ディフォルトで、インフレは頻繁に利用される」。解決策は大企業と大富豪の応能の税負担である。

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