都市計画学会中部支部の国際交流講演会に参加することができました。そのポイントとコメントをまとめました。
March16,2006
Presented by Kozo Aoyama
The Urban Policy Institute of New York
講演のポイント(レジュメより)
1 「米国の都市問題・住宅問題をもたらした4つの人口流動」
その1つが「都心部から郊外への人口流出」です。
2 「米国の都市・住宅政策の流れと特徴」
1977年 コミュニティ再投資法(Community Re-investment Act)
1986年 低所得者向け住宅投資減税(Low Income Housing Tax Credit)
1995年 公営住宅新規開発の禁止
3 米国における主な住宅プログラム
HOME:1992年 CDC(Community Development Corporation)などに対する住宅建設支援
HOPEⅥ:1992年 公営住宅の改善プログラム
ビル建設で住宅建設とリンケージさせ低価格の住宅が義務つけられています。
まとめ(口頭報告)
① 民間活力を活かす
② 民間マネジメントを活かす
③ CDCの活用
④ 階層ミックス
⑤ プロジェクトの歯止めがかかる
コメント
都市からの人口流出について説明がありませんでしたが、私の推測によれば階層分化による富裕層の流出でしょうか。背景は違いますが豊田市でも最近、近隣市への中堅の流出が問題となっています。なお、東京ではマンション住宅の人気があり、都心回帰の動きがあります。名古屋駅周辺では、構造特区で大手のビル建設で地価高騰が進んでいます。
やや古いけれど大野・レイコさんの「都市開発を考える」(1992年、岩波新書)に、アメリカの都市の成長管理政策が紹介されています。バブル崩壊後でしたが、理念は今日でも通用すると思います。アメリカは自由の国で、「何でも規制緩和」の誤解が持ち込まれていますが、全く違うものです。日本では企業の都合・利益追求のみで、公共の公正なコントロールが忘れられています。
質問でも出ましたが、タイトルにある「都市再生」で、日本では住宅が抜けています。豊田では市街地開発で公的補助金投入により、事務所、ホテル、民間分譲マンションが建ちますが、公平性、公益性が不明で、開発利益の市民還元がないように思われます。日本の民間活力は民間の金儲けがベースで、環境や景観も破壊されています。高度利用は高く建物を立て、「床面積を増やすことが中心で、オープンスペースを増やし、住環境を改善する」(大野)ことが行われるべきです。日本でもっとも重要な開発問題は、大型プロジェクトなどの採算性を考えず歯止めがかからないことです。赤字のときに責任の所在が曖昧なこと、環境アセスで経済アセスがないこと、代替案が示されないこと、公開議論がされないことが挙げられます。さらに、中立のNGOでCDCのような専門家のいる組織がないことです。神戸のまち・コミュニケーションなどが育って欲しいです。それにはNPO法の改正で、企業の寄付を税控除の対象にしなくては、専門家が雇えません。
住宅政策ではフローからストックの時代ですが、再生や改修への助成、住宅金融公庫の縮小見直し、地価政策、都市計画・住宅政策などアメリカの政策を曲げずに、正しく学ぶべきでしょう。「都市開発が、これほど活発に行われながら、それが都市の魅力の向上や住民の豊かさに結びつかないのはなぜ」(前掲書まえがき)でしょうか。
<写真は栗林公園の松>
March16,2006
Presented by Kozo Aoyama
The Urban Policy Institute of New York
講演のポイント(レジュメより)
1 「米国の都市問題・住宅問題をもたらした4つの人口流動」
その1つが「都心部から郊外への人口流出」です。
2 「米国の都市・住宅政策の流れと特徴」
1977年 コミュニティ再投資法(Community Re-investment Act)
1986年 低所得者向け住宅投資減税(Low Income Housing Tax Credit)
1995年 公営住宅新規開発の禁止
3 米国における主な住宅プログラム
HOME:1992年 CDC(Community Development Corporation)などに対する住宅建設支援
HOPEⅥ:1992年 公営住宅の改善プログラム
ビル建設で住宅建設とリンケージさせ低価格の住宅が義務つけられています。
まとめ(口頭報告)
① 民間活力を活かす
② 民間マネジメントを活かす
③ CDCの活用
④ 階層ミックス
⑤ プロジェクトの歯止めがかかる
コメント
都市からの人口流出について説明がありませんでしたが、私の推測によれば階層分化による富裕層の流出でしょうか。背景は違いますが豊田市でも最近、近隣市への中堅の流出が問題となっています。なお、東京ではマンション住宅の人気があり、都心回帰の動きがあります。名古屋駅周辺では、構造特区で大手のビル建設で地価高騰が進んでいます。
やや古いけれど大野・レイコさんの「都市開発を考える」(1992年、岩波新書)に、アメリカの都市の成長管理政策が紹介されています。バブル崩壊後でしたが、理念は今日でも通用すると思います。アメリカは自由の国で、「何でも規制緩和」の誤解が持ち込まれていますが、全く違うものです。日本では企業の都合・利益追求のみで、公共の公正なコントロールが忘れられています。
質問でも出ましたが、タイトルにある「都市再生」で、日本では住宅が抜けています。豊田では市街地開発で公的補助金投入により、事務所、ホテル、民間分譲マンションが建ちますが、公平性、公益性が不明で、開発利益の市民還元がないように思われます。日本の民間活力は民間の金儲けがベースで、環境や景観も破壊されています。高度利用は高く建物を立て、「床面積を増やすことが中心で、オープンスペースを増やし、住環境を改善する」(大野)ことが行われるべきです。日本でもっとも重要な開発問題は、大型プロジェクトなどの採算性を考えず歯止めがかからないことです。赤字のときに責任の所在が曖昧なこと、環境アセスで経済アセスがないこと、代替案が示されないこと、公開議論がされないことが挙げられます。さらに、中立のNGOでCDCのような専門家のいる組織がないことです。神戸のまち・コミュニケーションなどが育って欲しいです。それにはNPO法の改正で、企業の寄付を税控除の対象にしなくては、専門家が雇えません。
住宅政策ではフローからストックの時代ですが、再生や改修への助成、住宅金融公庫の縮小見直し、地価政策、都市計画・住宅政策などアメリカの政策を曲げずに、正しく学ぶべきでしょう。「都市開発が、これほど活発に行われながら、それが都市の魅力の向上や住民の豊かさに結びつかないのはなぜ」(前掲書まえがき)でしょうか。
<写真は栗林公園の松>