日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

プラチナ餡、カシミアのとろみ

2013-11-22 | トラットリア
熱を逃がさない「あんかけ」メニュー
そういう料理が美味しい
湯豆腐に生姜を効かせた「生姜餡」をとろり
片栗粉を少し加えるだけで安価食材 豆腐だって料亭の味。
単なる野菜炒めにスープを少し加えて、片栗粉でとじれば中華丼。


寒さに慣れるまで「とろみ」というごちそうが五臓六腑を温めてくれる。
そのあんかけの実力たるや寒い日のカシミヤの襟巻に同じ。
ごわごわするウールよりしっとりやわらかなカシミヤの方が暖かいもの。
食材をカシミヤのようなとろみであたためてあげようではないか。


和食には銀餡(ぎんあん)とよばれる「あん」がありまして
お出汁に淡口の醤油を香り程度に加えとろみをつけたもの
食材の色味をこわさないように淡く淡く儚い餡、銀餡。
醤油の色がしっかりとしたものを『金』とするなら無色に近いお出汁の餡を『銀』と呼ぶということか。
お出汁の味をしっかりと食材にからませるこの銀餡。
より深い味わいをつくりだすだけではなく、ツヤや温かさをもプラスする和食の技法なのであります。










さて天津飯
ゴハンの上にタマゴがのったシンプルな丼物
決め手はやはりとろりとしたその餡。
醤油色の餡、時には甘酢餡ありーのケチャップ入りありーので多様性をアピールするも
結局はゴハン+タマゴ+餡そして時にグリーンピース 3~5粒という地味目な構造。
地味なことは重々承知ながらも無性に食べたい王道メニュー。






ある日、初めて行った庶民的な中華屋でこれを出されてたじろいだ。
びっくりするぐらいシンプルすぎる天津飯。

ゴハン+タマゴ+薄い餡+グリーンピース4個


味はちゃんとするのか、食べ応えはあるのか。
寝起きのあたしにだって作れそうな天津飯を恐る恐る食べ始めたのだった。




さて、銀餡に話がもどる。
高級品であるカシミヤはその素材の希少性と手間で出来でおり
銀餡の良し悪しは手間と素材の良さで味が決まる。
カシミアの良し悪しはそのツヤ、とろみではかれるのなら
食材の美しさもツヤととろみを纏うことなのであろうと結論づけたところで
先の天津飯には銀餡ではなくプラチナ餡がかかっている極上品なのだった。


丁寧に仕込まれたスープで作られた餡は銀餡を超える繊細さ。
シンプルな料理というのは作り手の実力を如実に示すもの。
銀を超え、白銀、プラチナ餡。
極上のカシミアを思わせるその料理。
シンプルすぎるなんて馬鹿にした、あたしが馬鹿だったわ。







コメント
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