我が身内は東京日本橋の生まれで、幼少時代を日本橋で過ごしている。近所のお店というと百貨店の三越日本橋本店であったらしく、買い物と言えば日常的に三越本店を利用していたそうで、三越本店の思い出が今なお深いと言う。
私が現在デパートを利用する機会と言えば、料理の手抜きのためにデパ地下の惣菜売り場をあさり歩く程度で、普段は滅多に訪れない。
近年のデパートは昔とはすっかり様変わりしている。テナントが多くなっているようで、あの“ユニクロ”でさえ出店している。全体的に薄利多売傾向となり、人員も削減されほとんどが外部委託されている様子で、店員の対応もそっけない。レジではスーパーのような順番待ち方式が採用されているのも、すっかり見慣れた風景となった。全体的に経営の効率化が急速に進められ、昔ながらのデパートならではの高級感や徹底したサービス等の風情がなくなりつつある様子だ。
話がそれるが、入学式シーズンにもちなみ、デパートでのうれしいハプニングをひとつ披露してみよう。
ちょうど2年前の今頃の季節の話になるが、我が子の中学校の入学式がまもない頃のことである。学校指定のローファー靴がどうしても我が子の足に合わない。無理して1日試し履きをさせてみたら、かかとの豆が裂けて両足共血だらけである。これじゃあどうしようもないと判断し、デパート(東京池袋西口の東武デパート)へサイズの合う同種のローファーを探しに出かけた。親切な担当者(正職員と思われる。)があちこち当たってくれたが、取り寄せでないと入手できず、しかもその日程が入学式に間に合わない。そこで担当者がおっしゃるには、「インソールで調整してみましょう。入学式までに是非そのローファーを持参して下さい。」 お言葉に甘え、後日当該ローファーを持参し親子で再び靴売り場のその担当者を訪ねた。その担当者は私達親子のことをきちんと憶えていて下さり、インソールの専門家(?)を早速呼び、二人であれやこれやと持参した靴に合わせて下さる。ところが、子どもの靴にちょうど合うインソールが販売されていないのだ。そうしたところ、インソール専門家(?)が大人用のインソールをはさみで切り始めたのだ。そして2枚のインソールを組み合わせ重ねて子どもの足にピッタリ合うように靴の中を仕立て直してくれたのである。さすがのプロ技だ。その腕前に驚くと同時に、デパートならではのサービス精神に直面することとなった。しかも、サンプルのインソールを利用したので代金も不要と言う。子どもの足のサイズ測定から始まり、仕上がりまでの約1時間、2人の担当者が一銭のもうけにもならない仕事にかかりきってくれたのである。そして、入学式に間に合って良かったことを二人して家族のように喜んで下さったのだ。最後は、これからも靴に困ったらいつでも来て下さい、とおっしゃって見送って下さる。親としては涙が出るほどうれしいサービスであった。 デパートのサービス精神が、子どもにとって最高の入学祝いとなった出来事である。(池袋東武デパート靴売り場のご担当のお二人には、遅ればせながらこの場で改めて御礼申し上げます。あれ以来、我が子は足に合う靴を履くことが体の成長にとって重要であることが身にしみて理解できたようです。靴の履き心地に関心を持つ子どもに成長しております。)
話を表題の三越に戻すが、報道によると、この4月1日に三越と伊勢丹が経営統合し持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」が誕生した。連結売上高国内最大級のホールディングスの誕生である。ファッションに強い伊勢丹のノウハウを移植して三越が軌道回復を目指す目論みである。営業実績においては伊勢丹に勢いがあり、三越は低迷気味であるため、統合後の営業は伊勢丹幹部が握る、とのことであるが。
この三越伊勢丹ホールディングスの誕生で、百貨店業界は4強時代に入るらしい。今後は地方の百貨店もこの4強の傘下に入り、百貨店業界の再編、系列化は一層加速すると言う。
個人的にはデパートはほとんど利用しない人種であるため、関係ないと言えば関係ない話なのだが、消え去りつつある古き良き時代のデパートのサービス精神にも価値はあったような気もするのだが…。
私が現在デパートを利用する機会と言えば、料理の手抜きのためにデパ地下の惣菜売り場をあさり歩く程度で、普段は滅多に訪れない。
近年のデパートは昔とはすっかり様変わりしている。テナントが多くなっているようで、あの“ユニクロ”でさえ出店している。全体的に薄利多売傾向となり、人員も削減されほとんどが外部委託されている様子で、店員の対応もそっけない。レジではスーパーのような順番待ち方式が採用されているのも、すっかり見慣れた風景となった。全体的に経営の効率化が急速に進められ、昔ながらのデパートならではの高級感や徹底したサービス等の風情がなくなりつつある様子だ。
話がそれるが、入学式シーズンにもちなみ、デパートでのうれしいハプニングをひとつ披露してみよう。
ちょうど2年前の今頃の季節の話になるが、我が子の中学校の入学式がまもない頃のことである。学校指定のローファー靴がどうしても我が子の足に合わない。無理して1日試し履きをさせてみたら、かかとの豆が裂けて両足共血だらけである。これじゃあどうしようもないと判断し、デパート(東京池袋西口の東武デパート)へサイズの合う同種のローファーを探しに出かけた。親切な担当者(正職員と思われる。)があちこち当たってくれたが、取り寄せでないと入手できず、しかもその日程が入学式に間に合わない。そこで担当者がおっしゃるには、「インソールで調整してみましょう。入学式までに是非そのローファーを持参して下さい。」 お言葉に甘え、後日当該ローファーを持参し親子で再び靴売り場のその担当者を訪ねた。その担当者は私達親子のことをきちんと憶えていて下さり、インソールの専門家(?)を早速呼び、二人であれやこれやと持参した靴に合わせて下さる。ところが、子どもの靴にちょうど合うインソールが販売されていないのだ。そうしたところ、インソール専門家(?)が大人用のインソールをはさみで切り始めたのだ。そして2枚のインソールを組み合わせ重ねて子どもの足にピッタリ合うように靴の中を仕立て直してくれたのである。さすがのプロ技だ。その腕前に驚くと同時に、デパートならではのサービス精神に直面することとなった。しかも、サンプルのインソールを利用したので代金も不要と言う。子どもの足のサイズ測定から始まり、仕上がりまでの約1時間、2人の担当者が一銭のもうけにもならない仕事にかかりきってくれたのである。そして、入学式に間に合って良かったことを二人して家族のように喜んで下さったのだ。最後は、これからも靴に困ったらいつでも来て下さい、とおっしゃって見送って下さる。親としては涙が出るほどうれしいサービスであった。 デパートのサービス精神が、子どもにとって最高の入学祝いとなった出来事である。(池袋東武デパート靴売り場のご担当のお二人には、遅ればせながらこの場で改めて御礼申し上げます。あれ以来、我が子は足に合う靴を履くことが体の成長にとって重要であることが身にしみて理解できたようです。靴の履き心地に関心を持つ子どもに成長しております。)
話を表題の三越に戻すが、報道によると、この4月1日に三越と伊勢丹が経営統合し持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」が誕生した。連結売上高国内最大級のホールディングスの誕生である。ファッションに強い伊勢丹のノウハウを移植して三越が軌道回復を目指す目論みである。営業実績においては伊勢丹に勢いがあり、三越は低迷気味であるため、統合後の営業は伊勢丹幹部が握る、とのことであるが。
この三越伊勢丹ホールディングスの誕生で、百貨店業界は4強時代に入るらしい。今後は地方の百貨店もこの4強の傘下に入り、百貨店業界の再編、系列化は一層加速すると言う。
個人的にはデパートはほとんど利用しない人種であるため、関係ないと言えば関係ない話なのだが、消え去りつつある古き良き時代のデパートのサービス精神にも価値はあったような気もするのだが…。