原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「ナンパ」  ー vol.2 ー

2022年09月20日 | 人間関係
 つい最近の朝日新聞「ひととき」欄にて、78歳女性が「もしかしてナンパ?」と題する投稿をされていた。


 この記事を見て思い出したのだが、当「原左都子エッセイ集」開設初期に私は「ナンパ」と題するエッセイを公開している。

 当該バックナンバーを、以下に再掲載させていただこう。


 今時、街角で若者がナンパをしている姿をすっかり見かけないが、ナンパって今は廃れてるの? もう既に死語化しているのであろうか。
 昔は若者、特に男の子がこのナンパをよくやっていて、私もあちこちでナンパされたものだ。
 オーソドックスなのは、休日などに繁華街を歩いている時に「お茶しよう」と声をかけるパターンだ。 昔は喫茶店が多く、とりあえずは喫茶店でコーヒーでも飲みながらお話しませんか、という訳である。 これって、今考えるに至って健全な出逢いであるように思う。ナンパというのはそもそも外見から入るのはやむを得ないとして、次のステップとして、お互いに話し合うことにより理解し合おうという手段はなかなか健全でしょ。
 だいたい、今時「お茶する」などという文化が廃れているように見受けられる。 喫茶店自体をすっかり見かけなくなった。人間関係が希薄化している現在、話し合いによりお互いを理解し合うという機会がどんどん失われつつあるようだ。
 次によくあるナンパは車によるもので、「ねえ彼女、送るよ。」というパターンだ。 車は密室になるし、どこへ連れて行かれるかわからず危険性が高いのでお断りするしかない。
 私が30歳代後半独身で高校教員だった頃、この車ナンパによく遭遇した。 勤務先の学校から駅までバスを利用するのだが、仕事帰りに夜暗いバス停でひとりでバスを待っていると車が停車し、「ねえ彼女、駅まで行くんでしょ。送るよ。」とくる訳だ。(ミニスカ、ボディコンスーツ、ロン毛ソバージュのど派手な教員だったもんで、スンマセン…。)たまには生徒も車で通りかかる、高校生、免許持ってるからね。「先生、送るよ。」まさか送ってもらう訳にはいかない。 ある日、ちょうど車ナンパされている時にバス停に校長がやって来た。車が走り去った後で、校長曰く「今、ナンパされていましたね。」ものわかりのいい校長だ。
 電車内ナンパも経験している。 空いた電車に座っていると男が横に座り「彼女、どこで降りるの。時間があったらお茶しない?」 また、新宿駅のホームで電車待ちの時にもナンパされたことがある。 新幹線で大阪から東京への帰り、指定席で隣り合った男性に声をかけられ3時間語り合ったこともある。
 人との待ち合わせの時にナンパされることも多い。 ある時、待ち合わせ相手が来ないでイライラしているとナンパされた。待たされて頭にきていたこともあり、30分限定でお茶につきあった。 その後、そ知らぬ顔で待ち合わせ場所へ戻り「ごめん、遅くなっちゃって。」と言ったら、相手は何も知らずに「いいよ」と言ってくれた。
 大学生から合コンの誘いを道端で受けたこともある。その時私は既に30歳手前だった。「私は学生じゃないけど、職場の女性でいいならば…。」と言うと、その男子学生は「喜んで!」と言うんだけど、まさか30歳近いとは思ってないだろうからやっぱり断った。 後でその話を職場の40歳近い子持ち女性にすると、「何で誘いを受けてこなかったの、私行きたかったのに。」と怒られた。

 現在は、ネットでの出会い系サイトやメールのやりとりによる出逢いが多いようだ。 それにはそれの利点もあるのであろうが危険性も高い。やはり、生身の人間との直(じか)の出逢いを大事にしたいものだ。
 ナンパの話などして不謹慎であったかもしれないが、このナンパはひとつの生身の人間との直の出会いであり、利用の仕方さえ誤らなければ良き出逢いのきっかけのひとつとなり得るのではないかと私は思うのだが…。 

 (以上、「原左都子エッセイ集」初期頃のバックナンバーより再掲載したもの。)


 
 さて、冒頭の最近朝日新聞にて読んだ78歳女性による「ナンパ」の話に戻ろう。

 どうやらこの女性は大通りを歩いている時に、後期高齢者と思われる男性に「そこの喫茶店で一緒にお茶を飲んでもらえないかねえ。」とナンパされたようだ。
 その時、女性は長く連れ添って一昨年に他界した夫を思い浮かべ、そのナンパ男性も妻に先立たれて寂しくてたまらないのかもしれない、と考えたらしい。 それでも、「今急いでおりますので、すみません、失礼します」とお断りしたとのこと。
 男性側は、「あ、そうかね。残念だな」と言いつつ一人で喫茶店に入ったとの記述。
 その話題を後のお友達同士の集まりで話したら、「お茶ぐらい付き合ってあべれば良かったのに」との返答が返ってきたとのこと。


 これがもし原左都子だったらどうするだろう??

 ところが特に私が住む大都会では、人と人との関係が究極希薄化してしまっているのに加えて。
 今の時代、下手に見知らぬ人に声を掛けたりしたものならば、セクハラ、パワハラ等々の不審者として訴えられかねない物騒な世の中だ。😨 
 少し前までよくあった街頭でのキャッチセールスですら、姿を潜めている感覚がある。

 そのような現代の殺伐とした時代背景下に於いて、あえてこの私に男性から「お茶飲みませんか?」とお声を掛けて下さったとしたら。

 私ならば、まず一言二言会話をして相手男性の素養の程を一瞬にして探るだろう。
 そして一時なりとて会合を持つ価値がありそうだと判断したならば、その誘いに乗るかもね。

 いや、やっぱり外見も大事だなあ。 
 見た目が好みじゃなかったら「急いでいますので。」などと言いつつ、そそくさとその場を去るだろうね。😜 

 勝手に言ってる分には、誰だって自由さ! 😖 😵 


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