(冒頭写真は、朝日新聞愛読者プレゼントにて頂いた 「アンリ・マティス 色彩の魔術師 -vol.6- 」より「アルジェリアの女」。)
アンリ・マティス ー 色彩の魔術師 ー シリーズの公開は2ヶ月ぶりとなろうか。
先月到着した「豪奢Ⅰ」との作品は、3人の女性ヌードが描かれた作品だったのだが。
私はどうも、ヌード描写作品の良さがまるで理解出来ない人種のようだ。
人間とは衣装を身にまとった姿の方が、ずっと美しく感じる。 身体と衣装という芸術とのコラボとでも表現すればよいのか、そちらの方にこそエロチシズムを感じ取れるように思うのだが。
と言うわけで、昨月のマティス作品の一枚は非公開とした。
もう一枚の「豪奢、静寂、逸楽」と題する作品も、女性のヌードを描いたものだが。
こちらは複数のヌード女性と風景がコラボして、芸術作品として仕上がっているように私は評価する。
この作品の手法は、“点描手法”が用いられている。
点描技法とは、色彩理論に基づきながら細かな筆触で色を並べていく手法のようだが。 マティスの当該作品に関しては描かれた人物の身体が不自然になり、マティス本人はこの技法に満足しなかったそうだ。 (解説書より引用。)
冒頭写真作品「アルジェリアの女」に話題を変えよう。
アルジェリアとの国は、北アフリカに位置するらしい。
東にチェニジア、リビアと、南東にニジェール、南西にマリ、モーリタニア、西にモロッコ、サハラ、アラブ民主共和国と国境を接し、北は地中海に面する国のようだ。
エジプト・ギリシャへは14年程前に旅をして、その際に地中海に位置する湾岸都市アレクサンドリアへも訪れたが。
美しい街との評判を聞いていたが。 街全体をサハラ砂漠の砂が覆っているのか土色だったのに加え、アレクサンドリアから見る地中海も土色で濁っていたし… 道行く人々は我々も含めて外国人観光客ばかり…
この絵に描かれている女性のごとくの“エキゾチックかつオリエンタルな風貌の女性”を一人も見かけなかったのは残念だった。
マティス作品に描かれている女性は、日本の浴衣風の衣装を身につけているのも興味深く不思議だ。
最後にこの絵の説明をしておこう。
作品名は、「赤いキュロットのオダリスク」。
色彩はマティス作品らしい色使いで、作品としては一見美しくはあるのだが…
ここでまたもや原左都子の歪んだ好みを語らせていただくに。
「なんで胸を露出せねばならないんだ!?! きちんと着衣している方がずっと美しいのに…」と身勝手な我が好みで残念無念だ。
参考だが、“オダリスク”とはハレムの女奴隷であるようだ。
このオダリスクは、19世紀以降多くの芸術家が取り組んできた主題らしい。
この作品はパリの美術館が公式に購入した最初のマティス作品となったが、その背景にはオダリスクという主題と第一次世界大戦後の植民地主義の関連が指摘されている。
(との解説を書かれたのは、東京大学大学院 神津有希氏。)