冒頭表題に関して2025.07.24付朝日新聞記事より、以下に一部を引用しよう。
ヒトのiPS細胞から下あごの骨の一部をつくることに、京都大学研究チームが成功した。 iPS細胞から立体構造のあごの骨を作ったのは初めてという。 将来的には歯周病やがん治療などであごの骨を失った人への治療に役立てたいという。
あごの骨は、手足などと違い軟骨を作らずに集まった細胞が直接骨を作る。 研究チームはヒトの血液細胞からつくったiPS細胞で骨の細胞の元になる骨芽細胞などに分化させ、米粒大のあごの骨の一部をつくることに成功した。
研究チームはさらに、マウスの下あごに2ミリの穴を開け、米粒大の骨の細胞を移植したところ、新たな骨ができて周りの骨にくっついたという。
今後は、骨づくりに必要な代謝活動をつかさどる破骨細胞も加えた、より実際に近い骨をつくることを目指すという。
研究チームの京大iPS細胞研究所の池谷教授(幹細胞生物学)は「骨の治療には骨セメントなどを使った治療があるが、今回開発した細胞が実際の治療に使えるようになれば、より自然な硬さの質の高い骨で治療ができる。 また、靱帯などが骨になって行く進行性骨化性線維形成症といった難病に解明などにも役立てたい」と語った。
研究結果は科学史「ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング」に掲載された。
(以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)
医学者である原左都子の感想だが。
山中伸弥氏がノーベル賞を獲得した「iPS 細胞」の臨床現場での応用研究が、これ程までに多岐に及んで医療界で応用利用されている事実に驚くやら感激させられるやらだ。
「再生細胞研究」といえば。
その一番みっともない不正や疑義等々の指摘を受けた失敗例として、某女性O氏による「STAP細胞事件」を思い起こすが。 (当「原左都子エッセイ集」バックナンバーにおいて、この事件に関する批判レポートを数本公開しておりますので、よろしければご覧下さい。) 研究不正や疑問が数多く提示された挙句の果てに、O氏ご本人は今となっては何処かに雲隠れされているのか、音信を聞くことが全く無くなっている。
また ES細胞に関しては、再生医療や基礎への応用が期待されている反面。 その作成には受精卵が必要であるとの倫理的な問題や、他人の細胞であるため拒絶反応が起こる等の課題も抱えているようだ。
しかも、安定した品質のES細胞を大量作製することは容易ではないとの事情もある。
その点 iPS細胞は大人の体の細胞を初期化して作成するため、ES細胞のような倫理的問題は少ないらしい。
患者自身の細胞から作製できるため、拒絶反応のリスクも低いようだ。
このように iPS細胞研究は再生医療や創薬研究など様々な分野で進められており、特に難病の治療や臓器再生への応用が期待されている。
最後に余談だが。
iPS細胞研究によりノーベル医学生理学賞を受賞された山中伸弥氏は、マスメディアに出演されることを好んでおられる様子でもある。
まあ確かにiPS細胞研究は 医療界において大成功を遂げている研究であり、それの宣伝活動をメディアを通じてされてもよろしいのであろう。
ただし今後共々その露出度が上がるのを見せられることを、この私は好まないなあ。
特に、よくタレントのタモリ氏と共演されているようだが、あれ どうだろう???
いや別に既に医学業界では大成功されている人物であり、ご自由に身を振られたら良いのだろうが…
我が個人的感想を書くのは この辺でやめておくべきだろう。