原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

一人として勝者が出なかった10.22衆院選の顛末

2017年10月26日 | 時事論評
 冒頭から、2017.10.25付朝日新聞朝刊一面記事 「問う 選択のあとで【上】 無競争 政党政治の危機」より一部を要約して紹介しよう。

 政党とは何か。深く考えさせられた選挙だった。 民進党、そして希望の党の顛末を言い募っても仕方ない。 ただ、この20数年の政治の混迷が極まった、その象徴のようだ。
 投開票の2日前、東京錦糸町に希望の党小池代表とと民進党の前原代表の2人が聴衆に同じフレーズで訴えた。 「AまたはBという選択ができる流れが必要だ」「AでなければB、BでなければAという緊張感を」と。
 有権者にAかBか選択を迫る選挙にしたいという趣旨のようだが、2人が唱えた「安倍政治」を止めることと、政権をいまの野党が担うことは、必ずしもイコールではない。 安倍晋三に不満があるが、いきなり野党に政権を任せようとは思わない。 政権選択というのなら、消極的ながら自公政権に託すしかないーー。そう考えた有権者が多かったのではないか。 結果として、不支持率の高い首相が圧倒的議席を得て続投になった。
 二大政党制、政権選択という「幻想」をいつまで追い求めるのか。 小池・前原両氏の失敗は問うている。 小選挙区制に無理に合わせようとしても、政党の地力が伴わなければ政権は取れず、取っても失敗する。 この20年余の歩みである。
 安倍政権の5年間に不満や疑問を持つ国民は多い。 強い野党が出現し、緊張感のある国会論議によって政権をチェックし、暴走を止める。 その実績を積み重ねてこそ、幻想が現実へと変わり、「次の政権」の選択肢たりうる。 議席を伸ばした立憲民主党も、すぐに自民党に代わる政権政党になれるわけではないし、すぐに目指すべきでもない。 
 まして野党が政権を助ける補完勢力に堕すのなら、先はない。 維新が議席数を減らし、希望が苦戦したのは、有権者がそうしたにおいをかぎとったからではないか。
 自民党内でも党内野党の存在が薄れ、自由に論議する活力が失われて久しい。 石破茂氏が選挙で「国民がおかしいと思うことをきちんと言える政党に」と訴えていたが、「ポスト安倍」候補たちが沈黙したままでは、議論無き「無競争の政治」が続く。 政党政治の危機である。
 (以上、朝日新聞政治部次長氏が記した記事を要約引用したもの。) 


 私見に入ろう。

 10月22日の衆院選投開票後、私が一番悔しく無念なのは、上記朝日新聞記事内にも記されている文面中の以下のくだりだ。
 「安倍晋三に不満があるが、いきなり野党に政権を任せようとは思わない。 政権選択というのなら消極的ながら自公政権に託すしかないーー。 そう考えた有権者が多かったのではないか。 結果として、不支持率の高い首相が圧倒的議席を得て続投になった。」 との部分である。 
 安倍晋三に不満を持つ国民が多数にもかかわらず、何故その安倍氏が率いる自民党に票を入れるとの行動に出るのか!?! その自己矛盾の程は一体如何なる思想的背景に基づいているのか??
 私は選挙前に我がエッセイ集にて再三再四訴えて来た。 自分自身でよ~~く考えて「少しはマシと思える党に貴重な一票を入れよう!」と。
 それが安倍晋三率いる「自民党」になる、なる発想の程が私にはまったく理解不能だ。

 もちろん、我が国において戦後長年に渡り自民党政権が続いた時代は私も心得ている。
 過去に我が過疎地で経験しているが、特に高齢者程個々人に何の思想もなく、まさに“地元の政党の地力”や世襲により「自民党」が勝利する図式となっていた。 (今回の衆院選でも我が過疎地小選挙区当選者は自民党現職のようだが。)
 あるいは、自民党は現在に至って公共事業の癒着恩恵でゼネコン等々に巨大なコネを持っているとの話も聞く。それらの大企業と政党間での“票強制”の実体も甚だしい現実であろう。 

 ただ私が推測するに、上記「地権慣れ合い」や「癒着」と何らの関係もない国民さえもが自民党に投票した形跡もあるような気がするのだ。
 それも理解出来る気がする。 要するに、それら「地権」や「癒着」の下で育ってきた国民達が、これぞ一番の選択と信じて疑っていない歴史が我が国に未だ蔓延っている現実ではなかろうか?? ( 私としては、これぞ我が国に於ける「恐怖伝説」と位置付けたい程だが。)


 もう一点私がバッシングしたいのは、自民党内でも「反安倍」の動きがあるのに何故有能な自民党議員達がそれを行動に移さないのか、との点だ。

 確かにこの5年間、自民党政権内での「党内野党」が何の実力も発揮していない。 と言うよりも、「党内野党」組織すら安倍独裁下で皆無状態だったのだろうか。
 ここに来て、少しばかり石破茂氏がその動きを見せているものの。 今回の選挙では石破氏も慎重論を唱え続けた。

 何故、自民党内がこれ程までに安倍晋三に迎合しているのかと言えば、その答えも簡単だ。 要するに、自身の議員生命が繋げるからに決まっている。
 それ程までに、国会議員との職業とは高収入にして美味しいのだろう。


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 我が意としては実に不本意ながらも、今回またもや安倍晋三氏操る自民党政権が大勝してしまった。
 その全責任は投票行動をした国民にあるのはもちろんなのだが、国民の大多数が弱者故にその選択をせざるを得ないのであろう現実を鑑みると、何も言えないのも本音だ。
 
 そうだとして上記朝日新聞記事内に記載がある通り、私としては今回議席を伸ばした野党「立憲民主党」の“力強い野党力”に是非とも期待申し上げたい!
 まさに緊張感ある国会論議により、安倍政権の暴走を止める役割を担う野党第一党「立憲民主党」の今後の活躍の程を、しかと見守りたいものだ。