原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

NHK籾井会長再任困難報道に安堵する

2016年12月03日 | 時事論評
 本エッセイ集でNHK籾井会長を取り上げるのは今回が二度目だ。

 2014.02.05公開バックナンバー 「NHK人事柔軟化は会長問題発言の尻拭い対策か?」の中から、籾井会長に関して記した部分のみを以下に今一度紹介しよう。
 国営放送局とも表現可能なNHKが、ここのところ職員人事に関して“視聴者”の意向に沿いつつ柔軟対応していると解釈可能ではなかろうか?   こんなNHKの“視聴者の意思を尊重した人事柔軟対応”が過去に於いても存在したのかどうかは私には計り知れない。  そうだとして、NHKの視聴者志向とも言える“柔軟対応ぶり”の実質魂胆とは、国会で好き放題失言しまくったNHK新会長籾井勝人氏としての“あり得ない行動”に端を発していると考察できないであろうか??
 いやはや、NHK新会長の国会答弁での「失言」ぶりとは今時珍しい現象だった。 政権閣僚とて、下っ端の国会議員とて、今時は「失言」「暴言」で即座に議員辞職に追い込まれる時代である。 国会答弁に於いてもそれを重々自覚して慎重に発言している姿が見て取れる。
 そんな中どうした事なのか、NHK籾井会長は、国会の場で言いたい放題の個人的発言を公開してしまった…  この不祥事により一時辞職も危ぶまれたものの「辞職はしない!」と言い切り一応の謝罪はしたものの…  一庶民の立場として貴方の言いたいことは分かるものの、NHK会長の立場で法治国家に於いてはやはり現行法をわきまえないとねえ。
 実にお粗末なNHK会長の不祥事事件ではあるが、それの“尻拭い対策”で今回“民意”を反映したNHK人事が執り行われたのならば、私は歓迎したい。
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用したもの。)


 ここで一旦、原左都子の私論に入ろう。

 この籾井会長、その後もあちこちで「失言」「暴言」を繰り返す始末だ。
 それどころか公共放送局会長の立場にありながら、安倍政権に100%迎合し偏向した放送局に邁進する有様だ。
 この人物がNHK会長になって以降、私など特に政権に関連するNHKニュース報道等がまったく信用出来なくなった。 例えば政党の支持率ニュースに於いて、(これは昔からだが)NHKは他メディアに比し際立って与党(自民・公明)支持率が高いと伝える。

 あるいは、2016年7月に公開したバックナンバー「今の時代に『言論統制』が実行される事実に直面する恐怖」、及び「許し難き公的年金積立金5兆円計上の失策」内で述べた事実に関し、要約して繰り返させていただこう。
  皆様も既にご存知の通り、昨日(7月1日) 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用損失が、5兆円台に達したことが判明した。  更に許し難いのは、自民党政権がこの巨額損失計上の事実を7月10日に実施される参議院選挙の “後に” 「正式発表」すると言う。   これでは、野党から「損失隠しだ!」と批判されて当然だろうし、私自身も、その「票取り」の見え透いた手口に唖然とさせられるばかりだ。  自民党の「票取り作戦」とは、結局、“平和ボケ政治無関心派多数の国民”から何でもいいから票を稼ぎたい魂胆であることが見え見えであるのに嫌気がさす。 一方、朝日新聞はこれに関して報道した。 以下に紹介すると。   GPIFは国民年金及び厚生年金積立金約140兆円を運用している(行政独立法人)だが、非公式で15年度の財務諸表を報告した結果、運用損は総額で5兆円以上に上ったという。  当組織は、14年10月に国内債券の比率を下げ、その代わりに株式比率を50%に倍増。 安倍政権はこれを成長戦略として位置付けたのだが、それがために株価の影響を受け易くなった。  GPIFの運用基準をめぐる議論も再燃しそうだ。 民進党代表岡田氏は、「年金運用とは安定が必要なのに株に過度に依存している」との批判を強める。   単年度の運用損がすぐに年金の支給に影響する状況ではないが、もしも今後長期に渡って損失が続くようだと将来の年金財源が苦しくなる。   年金制度に詳しい専門家は、「与党はGPIFの運用基準を変える時、積立金オーナーである国民に十分な事前説明をしなかった。 野党も運用損で上げ足を取って国民の不安を煽るのはよくない」と指摘した上で、「積立金は国民のもの。財務諸表で年度の運用成績が分かるなら、速報値として開示するべきだ」と求めた。  
 原左都子の私論に入ろう。   いやはや自民党安倍政権としては、参議院選挙を間近(7月10日)に控えている身として、上記の「公的年金積立金株式操作による5兆円損失計上」に関し「言論統制」に突入した事実とは、実際選挙戦を繰り広げている現在に際し大いなる痛手である事実を判明・実証したようなものだ。
 (以上、再び「原左都子エッセイ集バックナンバーより引用したもの。)

 NHKは年金資金運用損失計上問題に関するニュース報道を、参院選開票後までただの一度も実施しなかった。 安倍政権が参院選勝利後、やっとこさ目立たぬように取り上げた。 ただそれも一回きりで、その後もこの事件に触れることは無い。

 そんなNHKの政権迎合 “政権のいいとこだけ放送” 姿勢に安倍政権は安堵し、糠喜びしている様子だ。
  ここのところ身勝手な方針を次々と打ち出し、法案可決に持ち込む独裁的有様。 「70歳以上医療費負担増」や「カジノ法案採決」等々……
 いやはや、国営放送局とも言えるNHKがこれだけ安倍政権に偏向した放送局に成り下がるとは、世も末、恐ろしや~~、 と怯えていたところ……


 私は、昨日一筋の光を見る思いだった。
 その報道内容を、ネット情報及び朝日新聞記事より以下に要約引用しよう。

 来年1月に任期満了を迎えるNHKの籾井勝人会長(73)の再任が困難となったことが11月2日、分かった。 任命権を持つ経営委員会の12人の委員のうち、再任に必要な9人以上の同意を得るのが難しい情勢となったためで、籾井氏は任期1期(3年)限りで退任する見通し。 後任会長の候補には、元三菱商事副社長の上田良一・常勤経営委員(67)が浮上している。
 NHK経営委は6日に会長指名部会を開き、各委員が提出する推薦書に基づき、具体的な候補者選定作業に入る。 
 籾井氏は2014年1月の就任記者会見で「政府が右と言っているものを左と言うわけにはいかない」と発言。 従軍慰安婦問題でも「戦争しているどこの国でもあった」と述べ、強い批判を浴びた。 15年には私的なゴルフで使用したハイヤー代を請求していたことが発覚するなど、言動がたびたび問題視されてきた。 NHK予算は全会一致での国会承認が通例となっていたが、籾井氏の会長就任後、3年連続で野党に反対される事態となった。
 こうした経緯を踏まえ、経営委は次期会長の資格要件として「政治的に中立であること」をより重視する姿勢を打ち出した。 これまでの議論では再任に否定的な委員が優勢で、放送法で会長選任に必要な9人以上の賛同は得られない見込みとなった。
 上田氏は三菱商事副社長を経て、13年6月にNHK経営委員に就任。 現在は常勤経営委員、監査委員を務め、NHKの経営全般に明るい。関係者によると、「籾井会長のハイヤー問題の際に毅然(きぜん)と対応し、他の委員からの信頼も厚い」という。
 (以上、ネット情報及び朝日新聞記事より要約引用したもの。)

 
 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 国民からの“受信料”収入で成り立っているNHK。
 その公共放送局が、政治的に偏った判断の下に報道を成すなど到底許し難く言語道断だ!
 政治的偏りが歴然としている籾井氏を、3年前に一体誰が何故会長に推薦したのかは私の知ったところではないが、とにもかくにも一期3年でこの人物を再任しないとの結論を導けそうな経営委員会の態度に安堵する。
 NHKにはこの3年間の反省と共に、新会長の下、真の公共放送局として生まれ変わて欲しいものだ。

 更には、もういい加減、全国民半強制の「NHK受信料体制」も本気で見直しては如何か??
 真面目にそれを支払い続けている我が身から発言させてもらうならば、とんでもなく思想が偏った会長が任命されても支払いを強制されるとは、民主主義先進国家下で成せる業とは考えられない。
 
 聞くところによれば、NHK職員は一般国民に比し桁外れに高年収らしい。 
 それら知性も能力もある(?)職員氏らの知恵を絞って新たなNHK運営手段を再考し、自らが所属する組織体の国民主体の今後の健全な存立を模索しては如何だろうか?