原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

連れ去られ監禁被害15歳少女の早期社会復帰を祈る

2016年03月31日 | 時事論評
 本日(2016.3.31)昼のニュース報道によれば、埼玉県朝霞市で女子中学生(15)が行方不明になり、約2年ぶりに保護された事件で、埼玉県警は31日、東京都中野区東中野3丁目、大学生寺内樺風(かぶ)容疑者(23)を未成年者誘拐容疑で逮捕したと発表した、との事だ。 調べに対し「間違いありません」と容疑を認め「(連れ去り当時、女子生徒との)面識はなかった」と話しているという。
 逮捕容疑は、2014年3月10日午後、学校から下校してきた当時13歳で中学1年生の女子生徒を、朝霞市内の女子生徒の自宅周辺で誘拐し、今年3月27日まで千葉県内や中野区の寺内容疑者宅まで連れ回したというもの。
 捜査関係者によると、女子生徒は寺内容疑者にフルネームで呼びかけられ、「両親が離婚することになり、その話をしたい」と言われ、腕をつかまれて無理やり車に乗せられたと説明している。 女子生徒も寺内容疑者について「知らない男」と話している。
 女子生徒はそのまま目隠しをされて千葉市内のアパートに連れてこられ、約2年間いた。玄関ドアには、中から開けられない別の錠が付けられていたとみられ、外出の際も寺内容疑者に手をつかまれていたため逃げ出せなかったという。

 別のニュース報道によれば、寺内容疑者の自宅マンションから、玄関ドアを内側から開けられないようにする「外鍵」の器具を押収していたことも捜査関係者への取材で分かった。
 女子生徒は3月27日に東中野の寺内容疑者の部屋を抜け出して、公衆電話を使って家族に助けを求めた。
 捜査関係者によると、女子生徒は「(寺内容疑者が)外出するときは鍵を掛ける音がするが、その日はしなかった」と話しているという。  寺内容疑者の室内にはパソコンが2台あり、女子生徒はそのうち1台を使うよう指示されていた。 この1台は一部の動画サイトしか見られないようになっており、閲覧履歴もチェックされていたという。 また、女子生徒は千葉市にいる間に数回、寺内容疑者と外出したが「ずっと手をつながれ逃げられなかった」と話している。
 捜査本部は、寺内容疑者が日常的に外鍵を使って女子生徒が外に出られないようにしていたとみている。
 女子生徒は今月27日に東京都中野区で保護された後、健康状態を確認するため病院に検査入院していたが、28日に退院した。現在は両親と一緒に過ごしているという。
 (以上、複数のネット報道より一部を引用したもの。)


 ここで一旦、原左都子の私見に入ろう。

 3月27日夜、当該被害者少女が2年間の監禁の末保護されたとの一報を見聞した当初は、その事件が発生した事自体を忘れ去っていた。
 (2年間も監禁されて生きていた? 一体如何なる状況下で連れ去られたのだろう??)
 
 と私が憂慮するのも、例えばストーカー事件を例に挙げるならば、その事件の発生原因とは様々だ。
 先だっての女性劇団員事件のように、ただの一回の面識もないのに加害者から一方的に狙われ殺害されたとの例もある。  片や三鷹女子高生殺害事件のように、加害者男性と何年も付き合った挙句、被害者が別離を告げたら殺されたとの事件も発生している。 
 それら犯罪の悪質性の重みとは、異なって当然であろう。

 今回の少女連れ去り事件の場合、少女が未だ中一(13歳)時点で発生した事態に、私はおそらく前者、要するに少女側には何の落ち度もないのもと推測していた。
 そしてネットにて被害者女子の画像を含めた情報を私なりに収集して、その思いが強まったのだ。
 
 通常のこの種の事件の場合、親族等がビラを撒いたりメディアに訴える等の手段により、「少女救出活動」を強行しているはずだ。  にもかかわらず、当少女事件の場合、それらしき救出活動を一切見聞したことがない故に、私は当該事件の事を忘れ去っていたとも言えよう。
 ただそうではなく、今回の場合、親族が少女を信じて静かに連絡を待っていた事こそが、少女の命を助けたとも言えよう。
 と言うのもネット上の写真等々の情報源による限り、被害者少女は“落ち着いた利発な女の子”との印象を私は受けるのだ。 しかも美人!(それ故に悲しいかな加害者に狙われとも推測可能だが¨。
 親族(特に御両親)は、そんな利発な娘さんの思考力と行動を信じたのではなかろうか!? 何処に監禁されていようが、娘さんが自らの判断力で最低限自分の命を守り切り生きて帰って来てくれるものと!!
 もしも娘さんが連れ去られる途中や監禁中に本人は元より親族等周囲が大騒ぎしたものなら、最悪の場合、早期に娘さんの命が加害者により奪われていたかもしれない…
 
 そんな利発な被害者少女が2年間もの監禁生活を耐え抜き時を見計らって、加害者の室内で発見した500円玉を握りしめ決死の覚悟で外に出て、一番に電話を掛けたのはやはり自宅だった…。

 こんな、世にも稀な冷静沈着な判断力のある少女の早期の社会復帰を見守りたい思いは、原左都子のみならず誰しも同様であろう。


 ところが、本日(3月31日)朝ネット上で発見した、加害者の「大学卒業認定」に関する記述に愕然とさせられた。
 以下にその一部を要約して紹介しよう。

 女子中学生(15)が約2年間、行方不明になっていた事件で、逮捕状が出ている寺内樺風(かぶ)容疑者(23)が通っていた千葉大学が言及した「卒業取り消しの検討」が波紋を呼んでいる。 卒業式の後でも、さかのぼって卒業を取り消すことはできるのか? そもそも、逮捕されてもいない段階で検討していいのだろうか?
 「事案を勘案し、卒業の取り消しの可能性も含めて検討していく予定です」。寺内容疑者の身柄が確保された28日、会見を開いた千葉大の関実・工学部長は、集まった報道陣にこう説明した。
 寺内容疑者は2011年に千葉大工学部情報画像学科に入学し、12年10月から1年間の休学期間を挟んで計5年間、在籍。インターネット上の商品評価の分析を研究し、関学部長によると、成績は「中くらい」で、きちんと大学に通う「礼儀の正しい学生」だったという。
 事件が急展開する4日前の23日、千葉大では卒業式があり、寺内容疑者にも卒業証書が授与されたばかり。 会見で大学側は、事件があったとされる約2年前にさかのぼって「停学」にし、卒業に必要な「4年」の修業期間に満たないことなどを理由に卒業を取り消せないか、学内の懲罰委員会で検討するとした。
 そこで学内で可能性が浮上しているのが、「卒業の認定は、学年の終わりに学長が行う」と定めた別の学則の適用だ。 いつをもって「学年の終わり」とするか、学則では「学年は4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる」と明記。卒業式の後でも3月31日までは学長の権限で卒業認定を見直せるという理屈だ。
 大学関係者によると、学内には「人材育成機関として勉強ができたからそれで卒業、でいいのか」といった意見があるという。28日以降、大学には「すぐに卒業を取り消せ」「学業はきちんとやったんだから、卒業を取り消すのはおかしい」といった賛否双方の意見が電話やメールで数十件寄せられたという。 広報担当者は「どんな対応を取るか様々な観点から慎重に検討している」と話す。
 (以上、ネット報道より加害者の「大学卒業認定」に関するごたごた騒動情報を引用したもの。)


 最後に、原左都子の私論で締めくくろう。

 学問の府であるべき国立学校法人千葉大学は、一学生が悪質な事件を起こし一人の少女の命が2年間もの長きに渡り危険に晒されていた事態に際して、何を血迷い馬鹿な事を議論しているんだ!
 今現在大学現場が成すべき事とは、加害者である一人物の「卒業」の扱いを如何にするかを議論する事ではない。 
 そんなことよりも、早期に教育者としてやるべきことが盛沢山なはすだ。 それはお宅の大学生が加害者として引き起こした事件の被害者少女に真っ先に配慮し、何らかの形で救う援助をすることではないのか?

 原左都子の認識としては、この国の法規定によれば小中高校・大学を問わず3月31日が学年の終期と心得ている。 故に、加害者は本日現在未だ在学生と結論付ける。
 千葉大学側の自主的判断で稀に見る異常な犯罪を実行した加害者を「退学処分」としたとて、それに反発する国民は存在しないであろうと結論付けたいのだが、如何だろうか? 


 そんなくだらない事を議論する前に、優先するべきは当該被害者少女の今後の社会復帰だ!
 
 どうやら、中学校現場では少女に「卒業証書」を手渡すとの報道である。
 形式的な措置はともかく、元教育者である私が真に願うのは心のカウンセリングはもちろんのこと、少女が失った“伸び盛りの貴重な2年間”の諸学習を何処かの機関が充実させて欲しいとの事だ。
 娘のサリバン業を20年来実行して来てそれに成功したと自負する私が、少女の社会復帰に係りたい思いすら抱くが、悲しいことに既に年老いた私にはその能力が失われつつあると自己分析する。

 どうか、少女が暮らす埼玉県朝霞市自治体の、今後の被害者少女の社会復帰に向けた救済力に是非とも期待したいものだ。