原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

我が子を褒めてもらえる親の誉れ

2014年12月28日 | 教育・学校
 この年末に歯の被せ物が外れるアクシデントに見舞われ、昨日私は行きつけの歯科医を受診した。

 何分 “病院へは(極力)行かない主義” の原左都子だ。
 歯科医とて例外ではないのだが、身体の他の部分とは異なり一旦虫歯と化した歯が自然治癒する事は絶対にあり得ない。 被せ物が外れた歯を放置しておいたのでは今後悪化の一途を辿るばかりだ。

 そうだとしても元医学関係者にして徹底した“病院嫌い”の私にとっては、歯科医の敷居がどうしても高い…  (来年まで受診を先延ばそうか…)なる逃避思考が大人げなくも脳裏を彷徨う。 
 ただ冷静に判断した場合、年末年始の長い医院休診期間内に我が“ボロ歯”がさらに悪化するのは歴然だ!  ここは勇気を振り絞って年内に歯科医受診しておかねば、“ボロ歯抜歯”との最悪悲惨な結果となりそうな事実が目に見える。
 そして私は昨日午前中に受診の予約を入れた。 幸いな事には、行きつけの歯科医院は昨日が本年最後の診療日だった。


 当該歯科医院を訪れるのは、ほぼ4年ぶりだった。
 にもかかわらず歯科医先生は私の事を覚えているばかりか、我が娘を褒め始めて下さるではないか!

 ここで補足説明をさせて頂こう。
 我が娘は持って生まれた若干の不具合があり、幼少の頃より歯科医院にて“かたくなに口を閉じてしまう”との事情を抱えていた。 そこで私が頼ったのは、そんな娘の歯科診療を実施してくれる小児歯科医院だった。 中学卒業頃までその歯科医に診察をお願いしたのだが、(我が判断に過ぎないが)この歯科医院の体質に辟易とさせられる部分が幾つか存在した。
 そんな中、我が娘の歯が父親DNAを受け継いでいた事が幸いし虫歯が発生しにくい体質だったようだ。 いえいえ、家庭内でのサリバン先生(私の事だが)の予防医学教育が開花したとも言えよう。  我が娘幼少の頃より、母である私が徹底した歯磨き指導等、歯の健康維持政策を実施し続けた事も娘の歯の健全維持に繋がったと自負している。
 幸いな事に娘の高校では歯科検診が無かった?(あったとしても、歯科診療を強制されなかった)時期をクリアして、娘はその間歯科医院を訪れる事なく大学に進学した。 
 現在娘は大学3年生だが、そろそろ就職活動も始まることだし現時点で今一度歯科医受診させておくべきとサリバン先生である私は目論んだ。 
 そうした場合、何処の歯科医を頼るべきか?  (内心、この子はまだ歯科医師の前で口が開けられないのか??)との不安感が漂ったものの、思い切って私の主治医歯科医先生の所へ一人で行かせたのだ!

 一体全体、我が子は歯科医院でどうなっているのかと気をもみつつ自宅で娘の帰りを待っていたところ、娘は笑顔で帰宅した。  そして母の私に告げるには、「いい歯科医先生だったよ。 私のカルテの名前(ギリシャ哲学から名付けている)に興味を持って下さって、お父さんは何をされていますか?と先生が尋ねて下さるから『父は物理学研究者ですが、私の名前は母が付けました。』と応えると、『お父さんはどのような物理学分野の研究をしているのですか?』とも聞いて下さるので、私が分かる範囲でそれに応えると『そうですか』と興味深そうに言いつつ、快く診療して下さったよ。」
 その後娘は当該歯科医院へ3度程通い、その都度歯科医先生と“学問論議”を交わした風だ?!?

 (余談であるが、これを娘小さい頃より周囲へ吹聴するべく指導しておけば、我が娘も今までの人生に於いてもっと周囲から高い評価を得られたのかもしれない、と今更ながら感じなくもない。  ところが娘がこれを自分から発するには時間を要した。 それは私自身が個人情報保護観点が強まった時代背景に配慮しつつ、娘には周囲への個人情報公開を控えるべく指導して来たためだ。   それとは裏腹に、娘の友達等の個人情報が早期から漏れ出ている。 “例えば○ちゃんのお父さんは医師だとか弁護士だとか”それらの事実とは、子供本人がそれを周囲へ吹聴したからであろうか??  あるいは親がそれを子供に吹聴するべく仕立て上げたのか…… 私には未だかつて理解しにくい話なのだが…)


 とにもかくにも昨日我が行きつけの歯科医を受診したところ、歯科医先生より開口一番「娘さんは美人ですね! それに加えて教養があられる」とお褒め頂いた事は、親としての誉れである事には間違いない。
 この言葉が欲しくて、私は娘のサリバン先生を長年勤め上げたとも言えるのだ。

 私はこれまで「個人情報保護」に慎重になり過ぎたのであろうか?
 と言うのも何故、娘幼少時代の周囲の子供達の父親の職業が公になっているのか、その意味が今尚理解しかねるのだ。
 ただ幼少の頃に“父親の職業”等他力本願理由故に周囲より高く奉られた子供達が、今現在如何なる人生を歩んでいるのかなど計り知れない事実であることは否めない。 

 そうした場合、我が子が成人した後今に至って初めて、他者に聞かれて両親の職業等も含め今まで自分が歩んで来た経歴の一部を述べられる事になった事実を評価するべきであろう。


 それにしても昨日行きつけの歯科医先生から我が娘の事を褒められた事実は、母の私にとって予期せぬ素晴らしい年末のサプライズだった事には間違いない。

 これで私は何だか心ウキウキと良い新年を迎えられそうだ!