“天下”の「東大」が、秋入学制度導入を声高らかに掲げたのは2011年の事である。
国内著名大学を筆頭に小中高校を含む学校全般は元より、国政や経済産業界までをも巻き込み、日本社会全体のシステムをも追随させようとの“大騒ぎ”をしでかした記憶は、原左都子にとって鮮明だ。
当時そのニュースをメディアを通じて一見した原左都子は、「東大」の身の程知らずの思い上がり“非常識”ぶりに辟易とさせられ、早速当エッセイ集を通してすぐさま反論を展開した。
2012年1月「原左都子エッセイ集」バックナンバー 「『秋入学』が本当にグローバルなのか??」 と題するエッセイに於いて私論を展開しているため、その一部を以下に反復させていただこう。
学校の「9月新年度制」への移行に関しては、何もこんな時に突然東大が言い出さずとて、ずっと以前より教育界に存在していた議論である。 その趣旨とは、欧米諸国の学校と足並みを揃えようとの意図であったと原左都子は認識している。
早ければ5年後にすべての学部を「秋入学」制へ移行したい東大の趣旨とは、海外からの東大への留学生、及び東大生の海外への留学に対応するのが第一義との報道である。 東大の言い分を以下に紹介すると、日本の大学生の海外への留学は近年減る傾向にあるが、東大が卒業生に取ったアンケートでは3人に1人が海外留学を希望しているにもかかわらず、実際に留学した学生は1割未満。 それは就活や留年の心配が大きかった故であるため「秋入学」によりこれを解消して留学を増やし国際感覚を育みたい、との事のようだ。 はたまた、東大の世界レベルでの大学ランキングが低い事も今回の秋入学制度提唱の大きな理由らしい。
原左都子の私論だが、そんな低レベルの見栄、体裁理由で日本の“一大学”に過ぎない東大が突然提唱した「9月新年度制」との大幅な社会システムの移行に、何故国家を上げさせてまで多くの国民を巻き込まねばならないのか。 東大さん、現在東京大学の世界ランキングが低いのは貴方達の“自己責任範疇の問題”に過ぎないでしょ? 今後もう少し東大内でこそ学力アップの自助努力をしてみてはどうなのよ??
少し私事を語ると、原左都子が1990年前後の頃に進学した公立大学・大学院にもアジア地域からの留学生が数多く存在した。 おそらく政府の国際交流の目的意図が強いと解釈していた私だが、とにかく日本人の学生数が少ない我が大学院に於いて、それよりも多いと思しきアジア諸国の留学生がキャンパスに多数存在していたものだ。 ところが当時より一部の日本人学生達の水面下で囁かれていた事実がある。 「彼ら留学生は日本語のみは流暢だが学問レベルの程がどうも疑わしい。 単に国際親善目的で政府及び大学が留学生として特待しているだけの存在ならば、大学研究室現場でそれに付き合わされる教官も迷惑だろうし、我々の学問にも影響を及ぼすよね……」
片や、東大から諸外国へ留学したい意思ある学生の中には、もちろん本気で世界最高レベルの科学や学問を志し今後世界の最先端を目指している学生も一部存在することであろう。 それには送り出す側も迎える側も是非共学問力を持って答えるべきだ。 それが東大に限った話ではないのは当然の事でもある。
ただ今回の東大からの提案である「秋入学」は、やはりその真価を世間に問う時期を誤ったものと原左都子は判断せざるを得ない。 たかが短期間、ちょっとばかし英語が出来る東大生を外国に送り込んだとて、何の能力の育成が可能と言うのだろう?? 大学の配慮の如何に先行して、自身に確固たる実力がある若者は自らのパワーで諸外国に羽ばたいている現状と私は捉えているのだが。
参考ではあるが、諸外国の企業はいつ何時でも有能な職員を採用しているようで、日本のような「4月新卒者一斉採用」という“一種特異的慣習”など無いという話だ。 このような本来の“実力主義”が日本で模倣できてこそ、東大も含めた日本の学校もやっと 「9月新年度制」 に真に移行できると私は結論付ける。
(以上、「原左都子エッセイ集」2012年1月バックナンバーより引用)
上記東大の“大騒ぎ”より半年程経過した頃、「東大秋入学」提唱者である学長浜田氏は、一旦自らのお騒がせに関して“及び腰”と相成った。
その時点に於ける原左都子の見解を、2012年7月バックナンバー 「大学『秋入学』今更及び腰の腰砕け」 と題して東大学長批判私論を綴っているため、以下にその一部を紹介しよう。
「秋入学」言いだしっぺの東大内ですら学内にも異論があり意見をまとめ切れていないらしい。 旧帝大や慶応等全国11大学に協議を呼びかけ全面移行への課題を検討するべく協議会は、発足後1回しか開催されておらず議論はまったく進んでいない… 東大からお声が掛かった11大学のスタンスもまちまち、京都大学は「検討していない」としているとの報道だ。
私論だが、これがもしも民間企業のプロジェクト事業であったならば、事業提案・主導者の浜田氏は即「左遷」、最悪の場合「首」となること間違いない。 「一大プロジェクト」の発足発表により世間を大いに巻き込み騒がせておきながら、現在までプロジェクト会議をたったの1度しか開催していない現状… 事業提案・主導者こそが強い意思と綿密な計画性をもって本気で動かない限り、一大プロジェクトの成就など見込めないのが世の現実であろう。
片や一般社会に目をやると、今回の東大よりの「秋入学」提案により一番の迷惑を被っているのは、その全面移行の過渡期に大学を受験する生徒達であろう。 「秋入学」が実行されるとなると、その移行準備まで背負って立たされる受験生及び保護者の苦悩・負担とは如何なものか。 今後東大総長氏がどうしても「秋入学」制移行を目指したい意向であるならば、その制度樹立のためには政界、経済界、教育界等日本国中のシステムすべてを巻き込まねばならないことを再度重々視野に入れつつ、綿密な計画性と事前調査・準備の下に制度導入を図り直すべきである。
(以上、「原左都子エッセイ集」2012年7月バックナンバーより引用)
そうこう右往左往した結果、何と今年(2013年)6月中旬に、東大は「秋入学」制度導入を見送ったとのメディア報道だ。
朝日新聞6月16日一面記事より、その詳細報道の一部を以下に要約して紹介しよう。
東京大学は、2015年度末までに4学期制を導入する方針を固めた。 6~8月に学生が授業に縛られないようにして「海外留学」等を促す狙い。 東大では現在7月まで授業があるため、6~8月に多い海外大学のサマープログラムに参加しにくいと指摘されていたが、この案によると当該期間に海外大学への留学がし易くなる。
ん???? ちょっと待ってよ。
東大が狙っていた学生の「海外留学」って、そのレベルだったの!?!
それならばこの原左都子とて今から40年程前の過去に於いて経験しているよ、米国カリフォルニア大学バークレー本校への「夏季エクステンション留学」を。 たかが1~3ヶ月間程度の海外大学サマープログラムに参加することなど、その後も国内数多くの学生が既に経験済みであろう。
東大が打ち立てた「秋入学」とはそんなチンケな趣旨ではなく、優秀な学生達を本格的に海外大学へ何年間か留学させ、各学問分野で将来ノーベル賞受賞レベルの研究成果を上げる事と私は理解していたのだが……???
ところがこんな貧相な留学改革のために、これまた東大が「4学期制」などへ移行するとの結論のようだ。
東大とは縁のない原左都子にとって今後共に東大が如何なる改革を実行しても一切の弊害は直接ないのだが、現役東大生及び今後東大入学を志している受験生にとっては迷惑この上ない話なのではなかろうか?
東大学長浜田氏は少し腰を落ち着けて、身近に存在する現役学生や受験生達の混乱の程は元より、今後の学生達の真の成長の程を考慮しては如何なものか。
国内著名大学を筆頭に小中高校を含む学校全般は元より、国政や経済産業界までをも巻き込み、日本社会全体のシステムをも追随させようとの“大騒ぎ”をしでかした記憶は、原左都子にとって鮮明だ。
当時そのニュースをメディアを通じて一見した原左都子は、「東大」の身の程知らずの思い上がり“非常識”ぶりに辟易とさせられ、早速当エッセイ集を通してすぐさま反論を展開した。
2012年1月「原左都子エッセイ集」バックナンバー 「『秋入学』が本当にグローバルなのか??」 と題するエッセイに於いて私論を展開しているため、その一部を以下に反復させていただこう。
学校の「9月新年度制」への移行に関しては、何もこんな時に突然東大が言い出さずとて、ずっと以前より教育界に存在していた議論である。 その趣旨とは、欧米諸国の学校と足並みを揃えようとの意図であったと原左都子は認識している。
早ければ5年後にすべての学部を「秋入学」制へ移行したい東大の趣旨とは、海外からの東大への留学生、及び東大生の海外への留学に対応するのが第一義との報道である。 東大の言い分を以下に紹介すると、日本の大学生の海外への留学は近年減る傾向にあるが、東大が卒業生に取ったアンケートでは3人に1人が海外留学を希望しているにもかかわらず、実際に留学した学生は1割未満。 それは就活や留年の心配が大きかった故であるため「秋入学」によりこれを解消して留学を増やし国際感覚を育みたい、との事のようだ。 はたまた、東大の世界レベルでの大学ランキングが低い事も今回の秋入学制度提唱の大きな理由らしい。
原左都子の私論だが、そんな低レベルの見栄、体裁理由で日本の“一大学”に過ぎない東大が突然提唱した「9月新年度制」との大幅な社会システムの移行に、何故国家を上げさせてまで多くの国民を巻き込まねばならないのか。 東大さん、現在東京大学の世界ランキングが低いのは貴方達の“自己責任範疇の問題”に過ぎないでしょ? 今後もう少し東大内でこそ学力アップの自助努力をしてみてはどうなのよ??
少し私事を語ると、原左都子が1990年前後の頃に進学した公立大学・大学院にもアジア地域からの留学生が数多く存在した。 おそらく政府の国際交流の目的意図が強いと解釈していた私だが、とにかく日本人の学生数が少ない我が大学院に於いて、それよりも多いと思しきアジア諸国の留学生がキャンパスに多数存在していたものだ。 ところが当時より一部の日本人学生達の水面下で囁かれていた事実がある。 「彼ら留学生は日本語のみは流暢だが学問レベルの程がどうも疑わしい。 単に国際親善目的で政府及び大学が留学生として特待しているだけの存在ならば、大学研究室現場でそれに付き合わされる教官も迷惑だろうし、我々の学問にも影響を及ぼすよね……」
片や、東大から諸外国へ留学したい意思ある学生の中には、もちろん本気で世界最高レベルの科学や学問を志し今後世界の最先端を目指している学生も一部存在することであろう。 それには送り出す側も迎える側も是非共学問力を持って答えるべきだ。 それが東大に限った話ではないのは当然の事でもある。
ただ今回の東大からの提案である「秋入学」は、やはりその真価を世間に問う時期を誤ったものと原左都子は判断せざるを得ない。 たかが短期間、ちょっとばかし英語が出来る東大生を外国に送り込んだとて、何の能力の育成が可能と言うのだろう?? 大学の配慮の如何に先行して、自身に確固たる実力がある若者は自らのパワーで諸外国に羽ばたいている現状と私は捉えているのだが。
参考ではあるが、諸外国の企業はいつ何時でも有能な職員を採用しているようで、日本のような「4月新卒者一斉採用」という“一種特異的慣習”など無いという話だ。 このような本来の“実力主義”が日本で模倣できてこそ、東大も含めた日本の学校もやっと 「9月新年度制」 に真に移行できると私は結論付ける。
(以上、「原左都子エッセイ集」2012年1月バックナンバーより引用)
上記東大の“大騒ぎ”より半年程経過した頃、「東大秋入学」提唱者である学長浜田氏は、一旦自らのお騒がせに関して“及び腰”と相成った。
その時点に於ける原左都子の見解を、2012年7月バックナンバー 「大学『秋入学』今更及び腰の腰砕け」 と題して東大学長批判私論を綴っているため、以下にその一部を紹介しよう。
「秋入学」言いだしっぺの東大内ですら学内にも異論があり意見をまとめ切れていないらしい。 旧帝大や慶応等全国11大学に協議を呼びかけ全面移行への課題を検討するべく協議会は、発足後1回しか開催されておらず議論はまったく進んでいない… 東大からお声が掛かった11大学のスタンスもまちまち、京都大学は「検討していない」としているとの報道だ。
私論だが、これがもしも民間企業のプロジェクト事業であったならば、事業提案・主導者の浜田氏は即「左遷」、最悪の場合「首」となること間違いない。 「一大プロジェクト」の発足発表により世間を大いに巻き込み騒がせておきながら、現在までプロジェクト会議をたったの1度しか開催していない現状… 事業提案・主導者こそが強い意思と綿密な計画性をもって本気で動かない限り、一大プロジェクトの成就など見込めないのが世の現実であろう。
片や一般社会に目をやると、今回の東大よりの「秋入学」提案により一番の迷惑を被っているのは、その全面移行の過渡期に大学を受験する生徒達であろう。 「秋入学」が実行されるとなると、その移行準備まで背負って立たされる受験生及び保護者の苦悩・負担とは如何なものか。 今後東大総長氏がどうしても「秋入学」制移行を目指したい意向であるならば、その制度樹立のためには政界、経済界、教育界等日本国中のシステムすべてを巻き込まねばならないことを再度重々視野に入れつつ、綿密な計画性と事前調査・準備の下に制度導入を図り直すべきである。
(以上、「原左都子エッセイ集」2012年7月バックナンバーより引用)
そうこう右往左往した結果、何と今年(2013年)6月中旬に、東大は「秋入学」制度導入を見送ったとのメディア報道だ。
朝日新聞6月16日一面記事より、その詳細報道の一部を以下に要約して紹介しよう。
東京大学は、2015年度末までに4学期制を導入する方針を固めた。 6~8月に学生が授業に縛られないようにして「海外留学」等を促す狙い。 東大では現在7月まで授業があるため、6~8月に多い海外大学のサマープログラムに参加しにくいと指摘されていたが、この案によると当該期間に海外大学への留学がし易くなる。
ん???? ちょっと待ってよ。
東大が狙っていた学生の「海外留学」って、そのレベルだったの!?!
それならばこの原左都子とて今から40年程前の過去に於いて経験しているよ、米国カリフォルニア大学バークレー本校への「夏季エクステンション留学」を。 たかが1~3ヶ月間程度の海外大学サマープログラムに参加することなど、その後も国内数多くの学生が既に経験済みであろう。
東大が打ち立てた「秋入学」とはそんなチンケな趣旨ではなく、優秀な学生達を本格的に海外大学へ何年間か留学させ、各学問分野で将来ノーベル賞受賞レベルの研究成果を上げる事と私は理解していたのだが……???
ところがこんな貧相な留学改革のために、これまた東大が「4学期制」などへ移行するとの結論のようだ。
東大とは縁のない原左都子にとって今後共に東大が如何なる改革を実行しても一切の弊害は直接ないのだが、現役東大生及び今後東大入学を志している受験生にとっては迷惑この上ない話なのではなかろうか?
東大学長浜田氏は少し腰を落ち着けて、身近に存在する現役学生や受験生達の混乱の程は元より、今後の学生達の真の成長の程を考慮しては如何なものか。