原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

迷い道くねくね

2011年09月28日 | 雑記
 普段の生活の中で様々な「迷路」にはまって、そこから抜け出ることの出来ない恐怖心を抱いた経験は誰しもあろう。
 人の人生そのものが「迷路」を彷徨う道程であるとも言えるのだが、今回の記事では原左都子が過去において実際に道に迷った幾つかの経験について語る事にしよう。


 つい先だって行きつけの美容院へ行ったのだが、この美容院は最近店舗を別のビルへ移転した。 駅を降りてから新店舗があるビルへの道程は比較的簡単なため、迷うことなく到着した。 ところが、美容院の中へ入って困惑するはめとなったのだ。

 店舗内がまるで「迷路」だったのである。
 まずは受付でトイレがどこにあるか尋ねたら、「ご案内します」との事で店員氏が導いてくれた。 その斜めに入り組んだ通路を歩みつつ(これ、一人で受付まで帰れないぞ)と心配していたら、店員氏がトイレの前で待っていてくれた。 やはり店内で迷う客が多発しているのであろう。
 参考のためこの美容院は全個室ブース対応であり、数多くのブースが店内に配置されている形態である。
 その個室内で担当美容師氏と新店舗の「迷路」構造談議となった。 その美容師氏の話から、やっと何故にこのような「迷路」構造とならざるを得なかったのかを理解できた私である。
 ビル自体が三角形なのだ。    その構造に合わせてスペースを有効利用するべく店内レイアウトにしたところ、「迷路」構造とならざるを得なかったのだと推測した。
 それにしても「会計は受付でお願いします」と言われても、受付までの道程が分からない私に「ご一緒します」との事で無事に帰宅できた。 
 (余談であるが、消防法上あの構造でも認可されたのか不安感を抱く私だ…


 我が過去における「迷路」にはまった最大の恐怖と言えば、子どもが喜ぶ遊園地での出来事である。
 我が子が幼少の頃に一家で遊園地へ出かけ、そこのアトラクションの一つである「鏡部屋」に入場した。 そこでは子どもは身内と一緒に行動し、私が単独行動となった。
 入場者の後に着いて歩いていたつもりが、何故か私のみ出口に辿り着けない。 鏡部屋であるため我が親子の姿も鏡を通して見えていたのに、既にその姿が見えなくなってかなりの時間が経過したように感じた。 その他の入場者の姿もすべて入れ替わっている。 (これは本気で迷路にはまり込んだぞ)との恐怖心が襲ってくる中、係員を探そうとしてもその場所にさえ辿り着けない。 一体どれ程の時間が経過したのか訳が分からなくなる中、(とにかく誰かの後についていくことだ!)と冷静さを取り戻した私は、必死の覚悟で入場者の後を追ってやっと出口に辿り着くことが出来た。

 この話は上記の美容院の事例と共通すると分析するが、人間とは上下左右、東西南北の“四方向の視点”を見失った場合脆いことを実感させられる。 
 えっ、それは単に原左都子の弱点に過ぎないよ、ですって??


 次なる「迷路」は我が身内の失敗談である。
 我が子を帝王切開で出産した後1週間後に母子退院と相成った。 身内が車で出迎えに来てくれたのはよかったのだが、通常20分もあれば到着する我が家にいつまで経っても辿り着けない。 車を運転させると道に迷い易い我が身内の習性は私は既に把握済みであるが、一番心配したのが産院から同乗してくれていた義母である。 
 身内に向かって、「ちょっとどうしたの? まだ着かないの?? ○○ちゃん(娘のこと)は産まれたばかりだし、○○さん(私のこと)はお腹を切ってまだ1週間なのよ。 二人共休ませてあげたいから、早く家に到着してよ!」
 義母の配慮心には感謝しつつも「いつもの事で慣れていますよ」とも言えず、ゆったり構える私である。 結局2時間を要した出産後の帰宅であったが、娘も私のお腹の中にいたころより身内の“迷い癖”に慣れていたのか、上機嫌での帰宅だったものだ。


 最後の「迷路」話は、おそらく飲兵衛の皆さんならば必ずや経験されているであろう失態について語る事にしよう。
 飲兵衛で名高い原左都子は、我が独身時代に数々の飲み処を訪れている。 その中でも「迷路」として思い出深いのは “横浜ロチェスター” をおいて他にない。
 この“横浜ロチェスター”とは先程ネット検索したところ残念ながら2006年に閉店したとのことだが、「シアターパブ」とでも表現すればよいのだろうか、とにかく劇場のごとく広いスペースが売り物だったものだ。 横浜西口から地下2階に下りて直ぐに行ける恵まれた立地条件もあり、独身時代横浜に居住していた私は彼氏等と共にこのパブに足繁く通ったものである。
 「シアターパブ」と表現したが、ここはその大規模展開にもかかわらず一旦席につけば落ち着ける雰囲気が私の好みでもあった。
 ところが、店舗が広い故の欠点もあるのだ。 酔っ払いとは足繁くトイレに通うものである。 トイレへ行った後自分の席への帰り道が分からなくなるのは自己責任と言えども困惑させられる。 そうした場合やむを得ず店員氏に自分の席を尋ねるのだが、この“横浜ロチェスター”においては店員氏の誰に尋ねてもきちんと我が席に案内してくれたものだ。
 これが今思い返しても不思議である。 顧客が300名ならば店員氏も2、30名配置しているのだが、どの店員氏に尋ねても必ずや我が席に連れ戻してくれるプロ根性に私は感激し、頭が下がる思いだった。


 数々の「迷路」に彷徨いながらも原左都子がいつも我が居所に帰り着けている事実に感謝すると同時に、今後も我が人生における「迷路」を享受しつつ歩み続けたいものである。
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