僕達は時代や世代の影響を多分に受ける。
社会は、ちょっと大袈裟に言うと、上の世代と下の世代との覇権争い(?)を通じて進んでいくものかもしれないと思う。
「僕らの時代」とか「されど、われらが日々」といったコトバは、そういった世代の思いから発せられたものなのかもしれない。
僕が生まれた1960年の世代は、上に「学生運動」の激しい時代を生きた世代と下には「新人類」といった新しいタイプの世代との狭間にあって、正直あまり注目されることがなかった。
そんな僕が16歳から21歳の青春真っ只中の、1978年~1983年までを取り上げた本。
それが「黄金の世代」。
本当かよ?
主にエンタメ分野の事が書かれているが、読んだら、あの頃のことがまざまざと色付きで蘇ってきた。
目次を見るだけで、その時代を生きた人は、ビビッと来るだろう。
▶1978年
「ザ・ベストテン」黄金の6年の幕開け
ユーミン再始動、松任谷由実
村上春樹が小説を書いてみようと思った時
松本隆のゴールデンエイジは原田真二から始まった
ベストテン司会を引き受ける時、黒柳さんは「絶対にランキングに嘘をつかないこと」と注文を付けたそう。
番組の生命線を見抜く眼力がすごいですよね。
▶1979年
「魅せられて」「異邦人」シルクロードブーム
「銀河鉄道999」作家性と商業主義
「3年B組金八先生」
「戦国自衛隊」最強タイトルの青春群像劇
▶1980年
「TOKIO」東京が最もエキサイティングだった時代
「YMO」とは高橋幸宏のことである。
羽田へ舞い降りた松田聖子
女子大生ブームの扉を開けた宮崎美子
▶1981年
アニメ新世紀「機動戦士ガンダム」
大滝詠一と松本隆「A LONG VACATION」
萩本欽一、視聴率100%男
向田邦子「父の詫び状」
新しいクルマ文化「ホンダ・シティ」
▶1982年
松田聖子はB面がいい
チャコの海岸物語
インテリ芸人タモリ 紅白司会までたった8年
宮崎駿も降板、アニメ「NEMO」
▶1983年
クロスオーバーの象徴「戦場のメリークリスマス」
「ふぞろいの林檎」とサザンオールスターズ
ATGの「家族ゲーム」
原田知世「時をかける少女」
読んで懐かしい気持ちになると同時に、その黄金の時代に、地元山口で時代の空気を底辺ながら吸っていたなと思ったが、その空気を作る側の人間にはなれなかったな、と改めて思う。
思いっきり翻弄されていた自分がいたなと再確認。