「スポーツと伝統医療ー東京2020オリンピック・パラリンピックに向けてー」をテーマに東京で開かれた日本柔道整復接骨医学会学術大会で、「スポーツ医学における外傷・障害のスポーツ復帰までの治療」で、プロ野球ソフトバンク監督の工藤公康さん(56)が東京有明医療大学の福林徹特任教授の質問に答えて、自らの度重なるけがをトレーニングで治したことを話しました。
工藤さんは1982年、投手としてプロ野球西武に入団し、左腕のエースとして活躍し、その後ダイエー、巨人、横浜ベイスターズ、西武に移りながら、チームの優勝に貢献したことから、「優勝請負人」と呼ばれました。投手生活は2010年まで29年間に上り、2015年からソフトバンク監督として日本シリーズ3連覇を果たしています。
176センチ、80キロの体を目いっぱい使っての投球は体を酷使します。何度もけがに苦しみました。最初の大きなけがは右太ももの裏にあるハムストリングスの負傷でした。左投手にとって右脚は踏みだす脚で、力のある球を投げると大きな負担がかかります。
右ハムストリングスの痛みを改善するために訪ねたのが、スポーツ医学の基礎をつくったとされる福林さん(当時、筑波大学教授)でした。福林さんは教え子でトレーナーの白木仁さん(筑波体育系大教授)を紹介しました。白木さんの指導で、弱かった右脚の筋肉を鍛えたり、投球フォームの見直しなどトレーニングを続けながら、治したといいます。
工藤さんは肩、ひじなども痛めましたが、白木さんの指導を受けながら、同じようにトレーニングをしながら治したそうです。さらに、引退後の2013年、筑波大大学院人間総合科学研究所に入学し、筋肉、骨、関節など体の動きを体系的に学びました。
右ふくらはぎのけがについて、白木さんは「MRIで大きな古傷を把握しました。痛みのある状態でしたが、適切なトレーニングをしたところ、傷跡が小さくなり、1か月で痛みがが消え、走れるようになりました。工藤さんはけがを治すトレーニング方法に納得したら、全力で取り組んでくれました」と話していました。