10年前に整骨院を開院した当初から、施療に来られた男性が亡くなられました。71歳でした。6月に心筋梗塞を発症し、入院治療を受け、一時は仕事に復帰するほど元気になったのですが、8月に二度目の発作が起こり、帰らぬ人となりました。
妻とは離婚し、子どもは独立、一人暮らしでした。缶ビールにのり巻きといった食生活でした。肉や野菜も食べるように勧めましたが、「めんどくさい」と言って聞き入れてはくれませんでした。歯のほとんどを失っていました。
男性は、生活の中心に「井の頭公園の歌姫」と呼ばれたあさみちゆきさんの追っかけを置いていました。あさみさんの公演先を訪ねて、日本各地を回りました。ファンクラブの仲間たちとの交流も始まりました。公演後、あさみさんを囲んでのファンの集いも愉しみでした。
60代初めのころ、ラジオで流れたあさみさんの歌声にふるえるほどに感動し、それから追っかけが始まったそうです。
新歌舞伎座の女性演歌歌手の公演には、後援会のはっぴを着た高齢男性が歌の間に「○○ちゃん 日本一」「××ちゃん 最高」などの掛け声をかけます。
私は追っかけをするタイプではないだけに、高齢になって追っかけをするような歌手や演奏家に出逢うことは本当にうらやましい。