水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

楽しいユーモア短編集 (62)天気

2019年11月27日 00時00分00秒 | #小説

 優柔不断(ゆうじゅうふだん)で、どうなるか分からないのが天気だ。こればっかりは人智(じんち)をもってしても、どう転(ころ)ぶか分からない不確(ふたし)かさがある。確率が高い予報を出せるようになった現代の文明社会でも間違ってしまうことがあるのが天気である。これは別に天気に限ったことではない自然現象だが、天気に限って言えば、晴れた日はどことなく気分が高揚(こうよう)して楽しいものだ。陰鬱(いんうつ)な曇(くも)った日の方がいいっ! と言われるお方もおられようが、そんな方々は少しナニだろう。ナニとはアレである。^^
 気象予報士がテレビで天気概況を一生懸命、語っている。本人が一生懸命なのだから、視聴者も一生懸命、聴くより他はない。^^
「すると、明日のお天気は?」
 アナウンサーが合いの手を掛け合い漫才のコンビのように入れる。
「はいっ! そういうことですから、天気は下り坂・・ということになりますっ!」
「下り坂ですか…。下り坂はそう疲れないですよね?」
「…? はいっ!?」
「下り坂だけに…」
 アナウンサーはダジャレを一つ、放った。
「ははは…まあ。楽しい行楽の連休ですが、雨傘(あまがさ)は持ってお出かけになった方がよろしいでしょう! 上坂(かみさか)がお伝えしました…」
「下り坂でしょ?」
「えっ!? ははは…まあ」
 気象予報士はアナウンサーのダジャレの猛追を、かろうじて逃(のが)れ、苦笑した。
 天気がどうであれ、連休は心がウキウキして楽しいものだ。^^

                                


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする