あんたはすごい! 水本爽涼
第ニ百九十ニ回
『灯りを点滅させるところなんか、乙(おつ)でしょ? ちゃんと事前に知らせている訳です。まあ、玄関チャイムのようなものでしょうか』
最初にお告げが流れたのは、この冗談めいた言葉だった。
「はあ、それはまあ…。しかし、それはどうでもいいんですがねえ~。突然、来られても、心臓が飛び出るほど驚きやしませんから…」
『そうですか? それじゃ、次回からはそういうことに…。で、今回、お呼びになったのは、どういった用件でしょう?』
「ええ、そうでした。そのことなんですよ。もう大よそはお分かりかと思いますが…」
『世界に広がり続けるパンデミックスの話ですよね?』
「はい、図星です!」
『やはり…。それで?』
「なにか、いい手立ては、あるか…です」
『そのことですが、あるなしを含め、大玉様にお訊(たず)ねせねば、お答は、しかねます』
「一刻を争う事態なんです。なんとか早くお願いします!」
『分かりました。しばらくお待ちください』
お告げは会社の電話受付嬢のようなことを云った。しかし、携帯で見たネットニュースの情報では、すでにウイルスの蔓延(まんえん)が全世界に及びつつあり、この日本でも感染家畜が確認されたと報じられていた。