水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第ニ百八十二回)

2011年04月04日 00時00分00秒 | #小説
 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第ニ百八十二
「でしょ? やっぱり、かかってきた…」
 携帯を切ると、禿山(はげやま)さんはニタリ! と小笑いして、そう云った。
「ええ…、それにしても怖いですね。で、このあとの私はどうなるんでしょう?」
「いや、そんな先までの夢じゃあないんですよ。ただ、ここへ来られてお帰りになるまでの夢なんですから…」
「いやあ、それにしても正夢とは怖いじゃありませんか…。恐らく、沼澤さんが置いてかれた水晶玉の霊力によるものかと思われます」
「霊力ですか…」
「ええ、霊力です。禿山さん、馬鹿にせず聞いて下さいよ。今や私も、その霊力者の一人なんです。まあ、霊術師の沼澤さんのような上級じゃないんですがね」
「えっ! 塩山さんが、ですか? そりゃ、すごいじゃないですか。で、どんなことが?」
「ははは…、云うほどの大したこっちゃないんですが、今のところは…」
「もったいぶらないで云って下さいよ」
「分かりました。…笑わないで下さいよ。お告げのことは、いつやらもお話ししてましたが、こちらからコンタクトをとれるようになったんですよ」
「お告げを呼び出せる、ってことですか?」
「ええ、お恥かしいんですが、まあ、そんなところです」
 私はドヤ顔ではなく、謙遜して自重ぎみに云った。

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