中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

[第11期 紬きもの塾19]開講しました!

2019年05月10日 | 紬きもの塾’17~’20


今年もお陰様で紬きもの塾19が開講しました。
今期から基礎と実習コースを分けてのスタートとなりました。

基礎コースの方全員着物でお越しくださいました。
HP、ブログを数年前から見てくださり、ようやく日程が取れるようになって臨んでくださる方もありました。


いつものように紬織り人間国宝・宗廣力三先生の作品集を見ていただき、まずは私の仕事の元にある師の仕事を知ってもらいました。
師匠のデザインを真似てはいけませんが、師が大切にしていた糸のこと、染色のこと、着ることなど受け継ぐものは受け継がせてもらいました。
シンプルな色使いの中に奥行きをもたせる色使いで日本的な奥ゆかしいものの美を大切にされていたと思います。
先生の元で仕事をさせて頂けたことを幸せだと思っています。


続いて黄色系の着物(単衣)とピンク系(袷)の私物の着物を全員が交代で羽織って頂き、どんな感じか、一人ひとり話してもらいました。
柔らかい、軽い、纏うと色の見え方が違う…などの声が聞かれました。

ピンク系も黄色系もみなさんよく似合っていましたが、特にピンクの着物を羽織ると表情が生き生きと明るく笑顔になった方もいらっしゃいました。また黄色系はしっとり落ち着き、より女らしさが引き出されてくる感じがありました。両方共、誰でもが似合った、という感想も聞かれました。

自然界のピンクと黄色は基本の色で、いずれにしても包容力のあるものだということがわかって頂けたかと思います。また、真綿系と玉糸系、袷、単衣の感じの違いも感じとってもらいました。

今期の方はみなさん着物歴も長く、お茶やお香を嗜まれたり、着付けの講師をされている方、和裁士さんもいらして、いろいろ知識、技術はお有りのようですが、紬塾ではそれらを一旦無しの状態にしていただき、新たな目でこれからの講義に臨み、改めてもう一度自分で良く見、感じ考えてほしいという趣旨の話もしました。


この日私が着ていた紬は修業時代の最後に宗廣力三先生から真綿一反分を頂き、つむぎ、母のために織った着物です。仕事を終えた夜の1~2時間毎日つむぎました。太目の糸が表情豊かで味わいと力強さがあって私は好きです。

紬塾の初回には私にとって原点となる40年程前に織ったこの紬をよく着ています。井桁絣も木綿の紺絣によく使われますが、整経が良くできていないとズレが生じたり、シンプル故にアラも目立ち、きちっとするには技量を要します。


紬は固くて着にくいという声もよく聞かれるのですが、この紬は一般のものに比べかなり地厚ですが、みなさんに袖を触ってもらいました。まだ洗い張りはしていませんが、その柔らかさに驚かれていました。
糸を細くして、織密度を高くすると固くて着にくいものになりますが、かと言ってただゆるければいいというものではなく、判断のポイントがあります。

帯は30年近く前、着物を着始めて間もないころに村田染織ギャラリーで購入した両面使いのオールドのジャワ更紗です。この日は柄がおとなしいB面で久々に締めてみました。 
自作の着物を着始めたよちよち歩きのあの頃から、ずいぶん時間が経過しているのだと、感慨深くいろいろ思い出します。

次回からは紬とはどういうものであったか核心に迫りたいと思います。
また堅牢でありながら着心地の良い紬の元になる紬糸や織り方についても話していきます。











コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 工房展「紬の会-プラスワン... | トップ | 玉田恭子ガラスウェア -紬... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

紬きもの塾’17~’20」カテゴリの最新記事