女性の健康寿命は75.4歳、男性の健康寿命は72.7歳といわれている。
人生100年時代、元気で介護のいらない「ぴんぴん老後生活」を手に入れるには、
どうすればいいのか。
老後に「寝たきりになる人」と「いつまでも健康で若々しい人」を分ける4つの原因とは。
本稿は、角田亘『リハビリの名医が教える 寝たきりにならない最高の方法』(エクスナレッジ)の
一部を抜粋・編集したものです。
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● めざせ「ぴんぴん老後」 健康であってこその長生きだ
健康長寿という言葉があります。これは元気で長生きをするという意味です。
そして、何歳まで健康で元気でいるか
(もしくは何歳まで介護なしで生活しているか)を表すものとして健康寿命があります。
日本の令和元年のデータによると、
女性の健康寿命は75.4歳、男性の健康寿命は72.7歳となっています。
女性の平均寿命を87歳とすると、女性の健康寿命が約75歳ですから、
介護が必要となる期間は12年間となります。
同様に男性は、平均寿命が約81歳で、健康寿命が約73歳なので、
8年間は介護を必要とすることになります。
こうして介護されながら生活している高齢者の中には、
寝たきりの状態になっている人も、相当いると予測されます。
ぴんぴん老後を元気で介護のいらない老後とすると、
その対極である寝たきり老後を過ごしている人が、少なくないことになるのです。
今から50年以上前の1960年(昭和35年)の平均寿命は、
女性70.2年、男性65.3年でした。
その当時と比べると、平均寿命は男女とも15年以上も延びたことになります。
でもせっかく長生きできるようになったのですから、
ただ長生きするよりも、健康に長生きしたい。と誰もが思うことではないでしょうか。
長寿が達成された今、次の課題は介護を受けずに、元気に長生きすること。
つまり健康長寿の達成です。
ずっと元気でぴんぴんと、老後を過ごしてほしいと思います。
ぴんぴん老後を手に入れることで、すばらしい老後を楽しんでほしいと思います。
● 寝たきりの原因1つ目は筋力低下
寝たきりになる原因としては、おもなものが4つあります。
まず、筋力低下です。
若い頃は、階段を一気に上れたのに、
年をとってからは、すぐに息が上がってしまうようになったと嘆いている人がいます。
50~60代といった年齢になると、このような足腰の衰えを感じる人が多いのではないでしょうか。
この原因が筋力低下です。
若い頃よりも筋肉の力が落ちてきたため、階段を上がるのがきつくなってくるのです。
筋力が低下するのは、筋萎縮(筋肉の量が減ること)が原因です。
実は年をとると、誰でも全身の筋肉量が減ってきます。
筋肉量のピークは、ほとんどの人では20~30歳頃であり、
その後は、だんだん減っていくことがわかっています。
ただ筋萎縮やそれにともなう筋力の落ち方には、個人差があります。
筋力が落ちていくスピードは、人によって異なるのです。
筋力は、筋肉に負荷をかけることで、維持されるので、
筋肉を使わない人ほど、筋力低下が早く進みます。
とくに高齢者では、筋肉を積極的に使わない生活が少し続いただけで、
ガクンと筋力が落ちてくることも珍しくありません。
普段の食事も、筋力低下の発生に関わります。
筋肉を増やすための栄養をとらない人は、
しっかりとっている人と比べると、明らかに筋力低下が早く進みます。
● 寝たきりの原因 2つ目は認知症
認知症は、脳の病気で、運動機能に直接影響をおよぼす病気ではありません。
そのため、寝たきりと一見関係がないように思っている人が、多いのではないかと思います。
しかし実際には、認知症から、寝たきりになる人はとても多いのです。
なぜなら認知症になると、体を動かさなくなるからです。
体を動かさない生活は筋力低下をまねき、やがて寝たきりになっていくというわけです。
ではどうして認知症になると、体を動かさなくなるのでしょうか。
認知機能の低下によって起こる症状の1つに、「意欲の低下」があります。
いろんなことに対し、やる気が起こらなくなる症状です。
こうなると「健康のために散歩しよう」といった意欲もなくなるので、
家にこもりがちになります。
家の中でもあまり動かないので、筋力低下やそれによる歩行機能の低下が起こり、
やがて寝たきりになってしまうのです。
逆にいうと、認知症になっても、介護する人が、手伝って毎日歩かせるようにすれば、
そう簡単には寝たきりになりません。
認知症になってしまうと、多くの場合では、本人の意思で、
運動することはできなくなってしまいます。
認知機能の低下は、ゆっくり進行します。
ですから、早めに認知機能の低下に気付くことが大事です。
テレビに出ている有名人の名前が、パッと出てこなくなるのは、
高齢になると、誰にでも起こることなので、あまり気にしなくてよいという人がいます。
でも私は、このあたりから、認知機能の低下が始まっていると考えています。
まだ黄信号とはいえますが、その段階で何らかの対策を講じることが重要です。
その次は、昨日自分が食べたものや、会った人の名前が思い出せなくなるといった段階です。
自分が最近経験したことが、思い出せなくなっているわけですから、これはもう赤信号です。
筋力低下と同じで、年をとると誰でも、多かれ少なかれ認知機能が低下します。
しかしこれも個人差があります。
頭をよく使う(脳に刺激を与える)生活をしている人は、
認知機能の低下を遅らせることができる可能性があります。
● 寝たきりの原因 3つ目は骨粗しょう症
骨粗しょう症というのは、年齢とともに、骨がもろくなることです。
そして骨粗しょう症になると、骨折のリスクが高くなります。
実は骨折から、寝たきりになる人も多いのです。
骨折したことによって活動量が低下し、あまり歩かない生活をしていると、
筋力低下が急激に進みます。
そこから寝たきりになっていくのは、珍しいことではありません。
筋肉や脳(認知機能)と同様、骨も年をとると弱くなります。
とくに女性のほうが、骨は弱りやすいことがわかっています。
ところが骨折さえ起きていなければ、骨粗しょう症があってもほとんどの場合、
とくに不自由なく、日常生活を送ることができます。
骨粗しょう症は、骨折が起こるまでは、無症状であることがほとんどなので、
骨粗しょう症の進行を、自分で気づくことはとても困難です。
筋力低下なら階段を上るのがキツくなったとか、
認知症なら昨日何を食べたか思い出せないとか、何らかの自覚症状があるのですが、
骨粗しょう症には、そういった自覚症状がありません。
病院で骨粗しょう症の検査をしていないと、骨が折れるまで気がつかないのです。
病院の検査というのは、骨密度測定のことです。
この検査を定期的に受けていれば、骨粗しょう症に早く気付くことができます。
骨も、運動や食事が大きく関わっています。
まず運動ですが、骨は刺激を与えないと弱っていきます。
また骨に必要な栄養素を食事からとらないと、やっぱり骨は弱くなります。
さらに日光に当たらない人は、骨が弱くなりやすいこともわかっています。
このように、骨の強さには、生活習慣が大きく影響しているのです。
筋力低下や認知機能の低下と同じように、骨粗しょう症もゆっくり悪化していきます。
しのび寄るように進行するといってもよいでしょう。
● 寝たきりの原因 4つ目は脳卒中
脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれますが、
現在の日本では、脳卒中が寝たきりの原因の第2位となっています。
脳卒中では、脳動脈が詰まったり破れたりすることで、脳組織がダメージを受けます。
そして、まひ、失語症、認知機能低下といったさまざまな症状があらわれます。
これらの症状は、適切なリハビリによって回復することもありますが、
逆にリハビリを行っても、症状が改善せずに、ついには寝たきりになってしまう患者さんもいます。
これまでの3つの寝たきりの原因(筋力低下、認知症、骨粗しょう症)と
脳卒中には、決定的な違いがあります。
それは先の3つがしのび寄るように、ゆっくりと進行してあらわれてくるのに対して、
脳卒中は、突然に発症することがほとんどであるということです。
発症の数分前までは、まったく元気であった人が、
脳卒中の発症と同時に、一気に運動機能や認知機能が障害されてしまうのです。
脳卒中の発症には、前触れがあることが少なく、脳卒中の発症を予知することは困難です。
しかし、どんな人が脳卒中になりやすいかは、すでにわかっています。
言い換えると、脳卒中の危険因子は、すでに明らかになっているということです。
脳卒中の危険因子としては、脳動脈硬化を悪化させるもの、
具体的にいうと、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙です。
これらをしっかりと治すことで、脳卒中の発症リスクは下げることができます。
そして、これらの危険因子をなくすためには、
生活習慣の改善や食事療法が非常に重要になってきます。
角田 亘 ・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。
今回、「寝たきりの人」と「ぴんぴんの人」を分ける4つのポイント、
私は学び、多々教示されたりした。
特に認知機能の低下に関しては、
《・・テレビに出ている有名人の名前が、パッと出てこなくなるのは・・》、
私は75歳の頃より実感してきた・・。
そして私は、夜にお風呂に入った時、就寝前に、
本日の自身の行動をゆったりと克明に思い出すようなことをしている・・。
果たして、このようなことが効果があるか分からないが、
ボケ防止と思い、まもなく5年となっている。