昨今、子供を虐待し、最悪の場合は死に至らしめる、
と不幸なニュースを読んだりしている。
ここまでは極端なケースでなく、子供のいたずらなどに対して、
親としての対処方法である。
私達の時代はどのようだったのかしら、思い返している・・。
私は昭和26年の春、小学校に入学した身であるので、
その頃の時代を思い浮かべていただければ幸いである。
長兄、次兄に続いて私が生を受け、私の下に妹が生まれた。
私が三歳前後の幼児の時、始めての女の子と家族はひととき溺愛した。
三男坊の私は、私をかまってくれない空気を幼児なりに、
察して素直さが失われた。
夕食時、妹がスプーンを使ってご飯を食べていた。
『俺も・・匙(さじ)で食べたい・・』と母に言った。
傍にいたいた父が、私の襟をつかみ、食事処から裏玄関に連れて行き、
私は外に放り出された。
私は泣きながら、暗くなった母屋の周辺を歩き廻った。
1時間すると、母が裏玄関から入れてくれた。
私の幼年期は、いじけた可愛げのない子供であり、
いたずらをした時、親の言うことがきけない、そして挨拶ができない時など、
父は二年の冬に死去されたが、亡くなる半年前まで、よく怒られた。
母屋の前の庭の外れにある蔵に、放り込まれたりした。
私が成人した頃は、東京オリンピックの開催の時代、
近所の若き奥さんと立ち話をした。
『うちの上の女の子・・言うこときかなかったから・・
和室の押入れに1時間位・・入れたわ・・』と言った。
最近、マンションに住まわれる奥さんと話をしたりする。
『うちの子・・空のお風呂場に入れてしまうの・・』と言った。
私が庭先に下り立つと、ときおり遠くから女の子の泣き声が聴こえたりする。
『ママ・・もうしないから・・』と泣き声まじりで訴えたりしている。
子供のしつけは、学校の先生ではなく、両親と思っている。
私は子供に恵まれなかったが、果たして子供がいたならば、
どのようなしつけをしたのか、苦笑せざるを得ないでいる。