ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

将来面白そうなアンテナ

2011-07-22 09:00:48 | 東工大

私は長年、無線通信の研究に関わってきたがアンテナはきちんと勉強したことはない。無線通信にはアンテナは必ず必要になるので、ある程度のことは知っているが、どうやって設計するかなどは知らない。しかし、最近無線通信技術は飽和に近づいてきたという感じを持っており、無線の分野で今後大きな変革を起こすとすればアンテナ分野ではないかと思っている。

私は現在、アンテナの研究室と関係が深いのでアンテナの研究の話は見聞きしている。しかしある程度確立された現在の手法でアンテナの構造を変えて設計するのではなく、まったく新しいアンテナというのが出てこないかな、という眼で見ている。そういった意味での技術の芽はいくつか見える。

まず、第1に材質を変えることである。アンテナというと金属で作るのが普通だが、最近はメタマテリアル・アンテナというのが出てきていて、携帯電話などのような小さい狭い場所に複数のアンテナを置くときに有効だそうである。これはアメリカでは実用レベルまで来ているそうである。

次にウェアラブル・アンテナというのがある。アンテナは空間に広がっている電波を集めるので性能を上げようと思えばどうしても面積が必要になる。そこで衣類の中にアンテナを仕込むのはどうか、というアイデアである。これも研究はかなりされているが、実用にはまだ至っていないと思う。うまく行けば高性能アンテナができるのではないかと思っている。

最後に、形状変形アンテナというのがある。これは、中国の大学の先生から「こういうアイデアもあるが実用はまだ相当先だろう」といって教えてもらった考えである。具体的には小さな金属片をたくさんつないでアンテナを作り、金属片間の接続をつないだり切ったりすることでアンテナ全体の形状を電波の到来方向に合わせて変形するものである。

これは面白そうだ、と思って検討してみたことがある。金属間のスイッチにはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)という超小型スイッチが使えるのではないかと思っていた。しかし、MEMSというのは動作電圧が高かったり、値段が高かったりで、「なるほど、実用化は相当先だ」と思ったものだった。ところが最新のEconomistをみるとMEMSより更に小型のNEMS(Nano Electro Mechanical Systems)というのが研究されているということである。これなら電圧も下がるし、価格も下がることが期待できるのではないだろうかと思う。しかも、研究はイギリスのサウスハンプトン大学の水田教授と、筑波の物質・材料研究機構の共同研究とのことである。

こういった様々な研究を組み合わせて日本から画期的なアンテナが出ないかな、と思っている。


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