ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

100万人への避難勧告は妥当か?

2011-09-21 08:09:12 | 東工大

台風15号が来ていて名古屋市では100万人に避難指示、勧告が出た。これを聞いて私は「日本はどうなるのだろう」と改めて感じた。

日本に台風は毎年のように来ている。しかし100万人以上の人に避難勧告を出した。避難勧告というのは避難指示とは違って注意を促しただけである。しかし、100万人もの人がいったいどこへ避難するのだろうか。そもそも本当に100万人もが避難しなければいけないほど危険な状態なのか、私は大いに疑っている。

この勧告を出したのは名古屋市だが、本当に防災情報を持って体制ができているのかを大いに疑問に思った。守山区は実際に水浸しになったそうだが、その周辺の実際は影響がどのように出るか分からないところでも避難勧告が出たのだろうと思う。そこには責任逃れのために勧告を出しておいたほうが自分にとって安全だという発想を感じる。原発事故の時の「リスクはゼロではない」という発言と同じ臭いである。

ちょうど今朝の日経に菅直人前首相の福島原発の回想インタビューが載っていて、似たような傾向を感じる。私は菅氏に関しては自分の行動に関しては全て正当化するために発言していると思っているので信用していない。しかし共感できた部分はある。「東京電力にまともに話ができる人は二人しかいなかった。勝俣会長と、吉田所長である」という部分である。私もテレビを見ていてそう感じていた。他の人は皆責任逃れが最初に頭にきている、というのはあたっている感じがする。ここでまともなのは二人というのが「何人のうちの二人だろうか」、と思う。総理と接触する可能性のあった人から考えて、おそらく50人から100人のうちの二人だろうと思う。

随分少ない比率である。日本人は不意の事故が起こったような時にまともに動ける人はそんなに少ないのだろうか、と思う。私が想像するに、吉田所長より下の人では、まともな人の割合はぐっと増えるのではないかと思う。つまりそういう骨のある人は出世せずに、保身を考える人が出世しているのではないか、ということである。これが最近の日本の産業の弱さにつながっていると思っている。

私が勤めていた時にも、部長(部下50人程度)くらいまでの人事は実に良くできていたと思うのだが、上級管理職の人事には首をかしげることが少なからずあった。この上級人事の仕組みを企業から公務員まで見直すことが日本の活力維持にとって急務だと思っている。


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2 コメント

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人事の采配 (世田谷の一隅)
2011-09-21 11:42:22
ウィトラさんは、東電の事故対応を見ながら、人事の管理の難点を突きますが、民間企業は、どんな組織を展開しても、そこにどのような人材を配置しても、最終的には競合市場に提供する「サービス・商品」で評価されます。

人事がうまくいって、その組織で働く人が生き生きと仕事をしても、最終商品やサービスに競争力が無ければ企業活動としては落伍します。つまり、経営者としては「ダメ」と判定されます。逆に、人事がおかしいといっても、その生み出す商品・サービスが市場で持続的に受け入れられるのであれば、人事の歪は軽微な領域と見做されます。

私は自分をめぐる人事は出来る限り文句を言わずに、黙って受け入れるようにしてきました。自分の人事は自分のレベルに降りてくる情報だけではなく、もっと違った次元での情報と判断で下されていると思ったからです。

自分で、あるグループの組織の人事を編成するような立場に立っても、出来る限り組織の目標がうまく実現できるように組織のあり方、人材の配置を心がけました。もちろん不満に思う人は部下がいたでしょうが。

最終的には、商品やサービスが市場で評価を受けるとの立場に立てば、その尺度で判断するべきと思います。

この理屈が通用しない世界が官僚組織です。個々の民間組織の人事を云々するよりも、「市場での評価」という論理が適用されず、肥大化にならざるを得ない現状を如何に抑制して、適正な規模(金額、人員など)を維持するかは、誰がどうやって決めているのか? この部分が重要な項目の一つではないかと思います。
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上から見る人事と下から見る人事 (ウィトラ)
2011-09-27 08:18:29
人事は自分がどうなるかといったたぐいの人事と、会社全体の人事は全く別物です。
私は人事という機能は会社を運営する上で極めて重要なもので、制度設計に関してはプロが会社の状況を見て行うべきだと思っています。
私のいた会社では、人事部から社長が出るということが想像もできませんでした。こういう会社は他にも結構ありますが、世の中には人事上がりの社長が出る会社もあります。
在社していた頃から感じていたことですが、人事部は「働く人に求められるもの」で書いたルーチンワークをしているホワイトカラになっている印象を受けていました。人事担当者でできると思った人には「自分が社長になることを目指して、この会社にどんな人材が必要で、どう育成していくかを考えるべきだ」と良く行っていましたが、まわりの環境が許さないのか本気では受け止めてもらえませんでした。
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