ウィトラのつぶやき

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公務員制度改革で何を目指すか?

2010-02-17 12:13:44 | 社会
公務員制度改革については何度か触れたのだが、テレビの討論会とかインターネットの評論を見るとどうもおかしな意見が多いと思うので改めて取り上げる。

公務員制度改革は大きく二つに分類される。一つはいわゆる高級官僚の処遇の問題であり、もうひとつは何百万人といる公務員全体の処遇の問題である。

高級官僚の問題は、官僚たちが何かというと省益を重視して新たな財団法人などを作り、自分の天下り先としたがるという体質を改めさせようというのが主な狙いだろう。

現在の官僚たちは「予算を取ってくることが良いことだ」という縦割り行政の中でやってきたのでどうしても機会があれば「自分のところに予算をつけよう」という発想で動きがちなのは事実だろう。

しかし、その官僚の体質、あるいは仕組みを変えてどうしようとしているのか、という議論があまり見られす、「天下りや渡りを禁止する」とか「政治家が官僚を入れ替えられるようにする」とかいった話ばかりが、あたかもそれが目的であるかのように論じられている。これは手段でどういう体制にしたいのかがゴールであるはずである。

改革を行って官僚組織をどうしようというゴールには私は二つの考え方があると思っている。

一つは、官僚体制をダメにして、優秀な人材は集まらず、政治家に言われたことだけをするような組織にしようという考え方である。小沢幹事長ははっきりこれを狙っていると感じる。小沢幹事長は若い官僚に「君たちに明るい将来は無いよ」ということを示して、自分の意見に反対で気骨のある人物は早期退職して官僚組織から去るように仕向けていると感じている。

もう一つの考え方は、高級官僚を入れ替えて、省庁を超えた国全体の最適化を考えるような組織にしていこう、といういわば官僚機構を良くしようという考え方である。自民党はこちら側の考え方だと思う。

私は鳩山内閣はこの中間ではないかと感じている。つまり政府内に小沢派と反小沢派がいて意見が異なっているという印象を受ける。

最近、鳩山総理は局長や、事務次官を部長と同じ待遇にするという格下げシステムを発表した。小沢幹事長としてはこれで狙いの半分くらいは達成されている。後は特別評判の悪い人を格下げにして、待てばよい。3年もすればかなりの人が退職するだろう。 良くしようと思えば話は別である。今の人にとって変わるどういう人を持ってくるかが重要である。これからの政府の動きをみれば意図がはっきりしてくるだろう。

私に言わせればこんなことは議論するまでもなく、官僚組織を良くするべきである。しかしメディアに出てくるのは官僚組織をどんな組織にしたいかではなく、官僚の抵抗で改革が進まない、それをどうやって押しきるか、といったたぐいの話ばかりである。

官僚人事を政治家が掌握すれば日本は良くなるのか、政治家のほうがむしろ私利私欲で行動する人間が多いのではないか。誰が人事をコントロールするか以前にどういう組織にしたいかを議論すべきだろう。