ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

トヨタの問題は根が深いかもしれない

2010-02-09 08:21:38 | 経済

トヨタがブレーキの問題で世界的にリコールをして大きな話題になっている。私は最初はこれは以前ブリジストンが起こしたタイヤの問題のように大きな問題ではあるが一時的な問題だと思っていた。

しかし、時間がたっていろいろな話が出てくるにつれて、これはトヨタ、あるいは日本の自動車業界の本質にかかわる問題ではないか、と思うようになった。

日本企業の本質にかかわる問題とは競争の軸がハードウェアからソフトウェアに移ったのではないか、ということである。

この問題は最初はアメリカ製の部品を使っているのが問題だといわれてきた。しかし、日本でもプリウスに多くの苦情が寄せられている点、トヨタがソフトを変更した点などを考えると、どうもエンジンの制御ソフトの問題のように思われる。

私は以前から何度か書いているように、日本ではソフトウェアアーキテクチャの発想が乏しく、とりあえず作ってそれを徐々に改良していく、という手法を取りがちなために、ソフトウェアの規模があるレベルを超えると制御不能になってしまう。

トヨタのエンジン制御プログラムも、リアルタイム
OSの上で作ったソフトに改良を重ねてそれが限界に来たのではないか、と思うのである。

それが、トヨタ自身が問題の本質と深さをなかなか測りきれず、次々と芋づる式に問題が出てきた原因ではないかと思う。

もし私の推測が当たっているとすると問題は今後の車のソフトウェアアーキテクチャをどういう方向に持っていくかということになる。

WindowsLinuxを導入してアーキテクチャをきちんとして複雑なソフトウェアを制御する方向に行くのが自然だと思うがこの方向に行くと日本企業が自動車業界で先進的な車を出し続けるのは困難になると思う。

大きなプロセッサを搭載せずに、多少効率は悪くても複数の小さなマイクロコントローラで制御するようなアーキテクチャを考えられるかどうかがカギになると思う。

今後、ハイブリッド車や電気自動車のように自動車の電子化が進んだときに、問題がホンダや日産にも出るようなら私の想像が当たっていることになり日本の自動車産業界の大きな危機になると思う。