今回は私の専門の無線技術の話である。
携帯電話はほとんど一人に一台普及し、現在では高速インターネットを携帯端末で楽しむ方向に世の中は向かっている。
私はこの移動体通信の高速化を実現する通信方式の研究開発にこの30年くらいかかわってきたのだが、通信方式の改良による高速化にはほぼ限界が見えてきている感じを持っている。
さらなる高速化を行うためには基地局の数を増やしていたるところに基地局がある状況にする必要があるのだが、これには莫大なコストがかかる。
もう一つの高速化の方策は感度の高い高感度アンテナを開発することなのだが、この分野はこの10年くらいほとんど進んでいない。要求条件を満たす必要最小限の性能のアンテナを作ることにメーカは注力している。
電波は空間に広がるものだから、高感度アンテナを作るということは、空間に広がった電波を集めるという作業になる。そのためには高感度アンテナを作ろうと思えばアンテナの面積を大きくすることが不可欠である。
その一方で、携帯端末は持ち運びするものだから小型化は必須の要件である。これが、端末用の高感度アンテナの開発が進まない大きな要因である。
それにしても、色々工夫の余地はあり、社長から「高感度アンテナを作れ」と命令されたら、端末のデザインを崩さない範囲で高感度アンテナ入りの端末を作ることの出来る会社はいくつかあるはずである。
高感度アンテナの開発が進まないもう一つの大きな理由は政府の規制である。政府が高感度アンテナは実質的に商売にならないように規制しているのである。
これについては明日、もう少し詳しく書こうと思う。