ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日揮の世界における活躍

2009-07-02 03:43:33 | 経済
プラントエンジニアリング大手の日揮が世界、特に中近東、アフリカなどで事業を拡大しているという記事を読んだ。

日揮は大規模工場の設立などのプラント建設を請け負う会社で一つのプロジェクトが何年もかかるような大規模プロジェクトを受注する。私は日本人はこのような大規模システムの構築は苦手だと思っていたので、この分野で日本の会社が欧米の会社に競り勝って受注を獲得して事業を拡大していると聞くとうれしくなる。

日揮の強さは現場力にあるようである。何年もかかるような大規模プラントの建設を受注し、いろいろな会社に発注して日揮の人が現場に張り付いて現場監督を行う。期間中には経済変動、自然災害など様々な予測不能な事態が起こるがそれを現地の人たちと一体になって解決していく。その過程で発注側から信頼を獲得する。多少の困難があってもあきらめずに当初の目標を実現すべくやりぬく姿勢が欧米企業に比べてずば抜けているそうである。

「黒部の太陽」に出てくる黒部ダム建設のプロセスを思い出させる。

欧米の企業は仕組みを作るのがうまく、全体が回るような体制を構築して合理的なやり方でプロジェクトを回していく。このあたりの仕組みの作り方と、合理的進め方は欧米企業のほうがうまいような気がするが、予期せぬ事態で苦境に陥った時の粘りと頑張りは日揮の方が優れているのだろう。

最近は企業の買収などが盛んで、トップの判断力の重要性が経済全体で増してきている。日本の社会、文化はとびぬけたトップを育成するのに向いていないので、日本企業が徐々に地盤沈下を起こしているのだと思うが、このような日揮の在り方は日本人本来の良さ、強さをうまく引き出して事業につなげている感じがあり、日本の世界の中で存在感を示す手法を示しているように思う。

日揮のような日本人の強さは戦後の高度成長時代の強さそのものという感じがするが、社会の中で次第に失われてきているように思う。

文化が変わるには何十年もかかる。強さを失わないうちに、それを生かすような産業の育成を考えたいものである