5月の拙稿から。
〈圭くん・眞子さん かわいそう
私見を述べるなら、婚約相調わない理由は内在的には宮内庁の怠慢、外在的にはアンバイ政権のアパシーだ。
こんなことはいち早く宮内庁が動いていればとっくに片付いている。まず公になる前に情報を掴んでなければいけない。そうすれば、内々に処理できる案件だ。隠すのではない。次善の策であっても事を進めるための方便だ。大人の知恵だ。それを事もあろうに、先般の小室文書に眞子さんが関与していたと仄めかした宮内庁幹部がいた。もう何をか言わんやである。
政権中枢も助力すべきだった。しかし、その形跡はない。なぜか。外在的にアンバイ君がアパシーを決め込んだからだ。皇位継承に無関係な婚約なぞ関心が無い。関心があるのは「21世紀の大日本帝国づくり」のみである。あるいは、「理想的家族の典型」に下手に容喙して保守層の反発を喰らうことを回避したのかも知れない。なにせ「あんな男」でも狡知は働く。〉
晩夏にいたり、事は動いた。
要録すると、朝日新聞は次のように報じた。
〈眞子さま、年内結婚で調整 儀式なし・一時金辞退意向 小室さんと米で生活
結婚の延期発表から3年半。小室さんが米ニューヨーク州の法律事務所に就職する見通しとなり、2人で同州で生活する基盤が整ったとみられる。眞子さまは婚姻届を提出して皇籍離脱した後、年内にも米国へ移ることで調整が進んでいる。結納にあたる「納采の儀」や天皇、皇后両陛下にあいさつする「朝見の儀」など、女性皇族の結婚時に通例行われる儀式は行わない方針。関係者によると、結婚への賛否を問う声や、新型コロナを踏まえたという。戦後、初めての事例となる。皇室経済法で定められた満額1億を超える一時金は財源が税金で、母親をめぐる「金銭トラブル」への批判もあることから、受け取ることを辞退する考えを持っているという。〉(9月2日付)
民草の一人として慶賀に堪えない。同時に別種の感慨がある。それはイギリス王室化である。
今年2月19日の報道から。
〈英王子夫妻、王室を「最終離脱」 公務復帰せず、女王に伝達
昨年3月に英王室の主要公務から引退したヘンリー王子と妻メーガン妃がエリザベス女王に対し、「最終的な離脱」の意思を伝えた。王室が19日発表した。「引退」については1年後に見直しが行われる予定だったが、夫妻は公務に戻らず、王室の活動から完全に離れることを決めた。これにより、夫妻が務めてきた軍の名誉職や慈善団体などのパトロン(後援者)の役職を返上する。〉(時事ドットコムから)
「経済的に自立する」と公言し、今、アメリカの高級住宅地に住んでいる。
高級住宅地かどうかは別にして、移住先はアメリカ。元々2人の結婚はかなりイレギュラーであり。結婚後もトラブルが続いた。しかもメーガン妃の父親との確執もあった。
新婦と新郎、父親と母親を置換すれば、かなり強いアナロジーが浮かび上がる。つまりはイギリス王室化だ。それで、今稿のタイトルはタカトシ風に捻ってみた。
戦前志向の諸氏には納得いくまいが、「人間宣言」が75年を経て一つの結実を見たと捉えたい。特に双方とも俗なトラブルを抱えつつも、恋路を駆け抜けたところが胸に迫る。「別種の感慨」とはそのことだ。この趣旨の論調は寡聞にして知らない。だから、敢えて呵した。 □