ド素人の酢豆腐である。鼻で嗤い、耳で聞き流していただきたい。
〈日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。効果の持続期間や、感染を予防する効果についても、時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいます。〉
厚労省のHPにはこうある。注意深く読むと、「感染予防」研究は進んでいるものの、「発症・重症化を予防する効果」とある。ウイルスを死滅させるとは書かれていない。今日までに人類が死滅させたウイルスは天然痘ウイルスのみである。最古の記録は紀元前1350年、爾来3327年を経てソマリアでの患者を最後に天然痘は地球上から消えた。1977年、WHOはそう発表した。とてもじゃないが、コロナウイルスを死滅させるなどとは絵空事である。
では、なぜワクチンなのか? 話は振り出しに戻って、「発症・重症化を予防」するためである。決して死滅させるためではない。残念ながら……。
さて、ここからが似ぬ京物語である。
死滅しない以上、感染はする。ウイルスが消えるわけではない。発症は免れるが、人体にパラサイトはする。ということは、保菌者、“保ウイルス”状態、つまりキャリア(carrier)にはなり得る。個人差はあるが、体内での残存は7~28日間とされる。その間、発症せずともコロナウイルスと起居を共にしている。ぶっちゃけて言うと、キャリアであると同時に運び屋、キャリー(carry)である。自覚なきウイルス・キャリー(稿者の造語)だ。空港でそれとは知らずおクスリを預かって事件に、というあれだ。
抗体カクテル療法とて同じだ。昨年10月にトランプが感染した折り、これを使った。入院・死亡のリスクを7割軽減できても、ウイルス・キャリーを免れるわけではない。
だから、「何よりもワクチンという武器があります。一進一退があっても、必ず先には明かりが見えてきます」との首相発言(4月の記者会見)は眉唾だ。
総務省自治行政局住民制度課が発表した令和3年1月1日現在の外国人を含む日本居住者1億2665万4244人が一人残らずワクチンを接種し、かつ完全に海外と遮断できた場合を除いて「必ず先には明かり」とは言えない。ウイルス・キャリーは増え続ける。ここが盲点だ。そこを外してウイルス万能説を能天気に振りまくのは百害あって一利なし、非常に危険だ。
ウイルスにもサバイバルする権利がある。手を替え品を替えて奴らにとっては“防御”を、こちとらには“攻撃”を繰り返す。だって、奴らにとっては人類は新参者ではないか。なにを偉そうに大きな顔をしやがって、と声なき声を発しているにちがいない。
日本政府は戦略性皆無のくだらないアホ宣言とケチでチンケな休養保障、というより無策の繰り返し。ここに来て、やっと集団感染の真似事ともいえるトリアージに舵を切りつつある。重症者だけを入院させるとは即ちコロナ・トリアージだ。他の人はごめんなさい、自分でなんとかして、である。列車事故で大量の負傷者、トリアージして病院へ。だが、運べる病院があっての話だ。お手上げの白旗同然、思考停止、態(テイ)のいいフリーズである。
本当に万策尽きたのか? まだ諦めるのは早い。自衛隊の総動員だ。当面外国勢力の侵略は予測しがたいのだから、この際自衛隊を総動員して野戦病院を開設してはどうか。小出しではない、総動員だ。自衛隊には医官が1200人、自衛隊看護師が1000人いる。おまけに自衛官は健常者ばかりである(多分)。リソースは充分だ。自衛隊法第83条災害派遣の適用である。あるいは乱暴だが、緊急事態なのだから自衛隊法第3条(自衛隊の任務)「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため」を根拠とすることもできる。大きなお節介のPKOより頭の上の蝿を追うべきだろう。
その器にあらざる本邦首相はウイルス・パラノイアに罹っている。どたいウイルス・キャリーにまでは思考が及ぶまい。国民の安全ではなくわが身の安全しかアタマにはない。妄想の“権力キャリー”か。しかし、支持率が3割を切って安全であるはずがない。はずはないが、ウイルスどもは7割の絶大なる支持を寄せている勘定だ。……変な政権! □