≪(記者)
東京新聞、中日新聞の清水です。
今回の緊急事態宣言の延長に至ったことの総括と、宣言解除の基準について質問します。
短期集中で人流抑制を目指した今回の緊急事態宣言は、当初から17日間は短過ぎるという専門家の指摘があり、実際、大型連休の人流抑制や自粛の効果を見極められないうちに延長という判断に至りました。期間や対策の内容は適切だったのか、そもそも短期集中という設定は正しかったのか、首相の見解を伺います。
また、首相は、今回の宣言発令決定後の前回の記者会見で、解除基準について、そのときの状況を考え総合的に判断すると説明されましたが、国民に更なる自粛や事業の制約を求める以上、どうなったら解除に至るのか、具体的な基準を明示すべきではないでしょうか。考えを伺います。
なお、この会見は1人1問が原則ですが、国民の疑問に答える有意義な質疑となるよう、各社の再質問があった場合、その再質問にも応じていただけるようお願い申し上げます。
(菅総理)
まず、特に多くの人出が予想されるゴールデンウィークという特別の期間において、短期集中的な対策として、感染源の中心である飲食の対策に加えて、人流を抑える対策を採らせていただきました。この結果、対策を講じる前や前回の緊急事態宣言と比べても、人出が少なくなっており、人流の減少というその所期の目的は達成できたと考えます。
しかし一方で、こうした対策は国民生活にも大きな制約を与えるものです。今回の延長に際しては、平常時の時期に合わせた高い効果の見込まれる措置を徹底することにより対策を講じていきたい、このように思います。≫
正確を期すため、首相官邸HPからそのまま引用した。先日7日の首相記者会見での遣り取りである。
核心部分は「短期集中という設定は正しかったのか」との質問に対し、「人流の減少というその所期の目的は達成できた」と応じた部分だ。テレビ報道で、感染症のオーソリティー松本 哲哉教授は「目的は感染拡大を防ぐこと、人出の抑制はその手段でしかない」と一刀両断にした。もっともだ。スッカスカ君の答弁は子どもの言い訳に等しい。いや、それ以下か。あるいは、こうも言える。
昨年11月の拙稿「それがどうした?!」で取り上げたアンバイ内閣で多用された『ご飯問答』。「朝飯は食ったか?」「ご飯は食っていない。パンは食ったが」という飯を食う前に人を食ったはぐらかし答弁である。
上掲稿にはこう呵した。
〈論理的不整合には無頓着だ。何度糺されても、同じ答弁を繰り返す。彼らに共通しているのは自らを相対化する謙虚さである。しかしそれは我執が邪魔をして前景化しない。だからこそ、孔子は「過ちを改めざるこれを過ちという」と訓(オシエ)たのではなかったか。〉(抄録)
ご飯問答もスッカスカ君の域に達すると、反知性主義どころか非知性、無知性としか言い様がない。ただ前述の質問を受ける際、記者へ鋭い目線を送っていた映像は見逃すわけにはいかない。怨念のこもった目、敵を狙う目だった。少なくとも異論を受け入れる器に備わった目ではなかった。あの一瞬の映像はスッカスカの奥にある闇を過つことなく捕らえていた。目は口ほどに物を言う、である。
訥弁はキャラになる。ボキャ貧も愛嬌だ。だが、アンバイ君のような独りよがりの非論理的な立て板に水は人を騙す。闇を隠した訥弁とボキャ貧は同等に人を欺く。やっぱりスッカスカ、されどスッカスカ。肌に粟を生じる記者会見ではあった。 □