伽 草 子

<とぎそうし>
団塊の世代が綴る随感録

12月31日のカレンダー

2017年01月01日 | エッセー

 12月31日のカレンダーはいつもぞんざいにされる。まだ1日が終わらないうちから外され、ゴミ箱行きになる。ヒドいもんだ。11月までは、末の日が来てもカレンダーは残されていたのに……。
 入れ替わりに真新しいカレンダーがまだ始まってもいない日付を並べて、すました顔をしている。
 初、初、初が並ぶありさまを見て、きのうがきょうに代わっただけじゃないかと、言う人がいる。でも、それはおかしい。だって地球が太陽のまわりを一周して出発点に戻り、リスタートするんだよ。いってみれば宇宙を舞台にした超特大の節目といえる。だから初、初、すべてが初でいいんだ。
 だったらなおのこと変だよね。どうしてやたら12月31日のカレンダーは邪険にされるのか。よっぽど早く忘れたい嫌な一年だったんだろうか。それならそれで、しっかり反省しなくちゃいけないんじゃないかな。
 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」っていうよ。負けにはちゃんとした理由がある。負けて不思議じゃないから負けたんだって。それをきっちり振り返り、何が悪かったのか、今度負けないように、どうしたらいい? そう頭をひねるのが12月31日だよね。
 とってもハッピーな1年だったとしても、うっかりするとその時にアンハッピーの原因をつくるっていうよ。それもそれなりに引き締めなきゃーね。それだって12月31日の大事な仕事だよね。
 大掃除? そうか、忙しくてそんな暇はないか。でも、毎年そうだよね。外っかわはきれいになっても、頭の中は汚れたまんまじゃ片手落ちだよ。両方、クリーンにしなければ。
 なんにせよ撤収早過ぎ! 12月31日のカレンダー。“みなさん、そんなに急いでどこへ行く”って、ギュウギュウ詰めのゴミ袋の中で泣いてるんじゃないかな。今年こそは、紅白が終わるまで(見ないけど、雰囲気で判断)壁に掛けたままにしておこう。でもきのうのように、玉箒で心の憂さを掃いてばかりじゃ意味ないよなー。
 以上、年頭のご挨拶に代えて。今年もよろしくお願いします。 □