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山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

地震の”縦揺れ”と”縦波”は別物

2022年03月18日 | 防災・安全

今回の地震の話題で、ラジオの某有名なキャスターが、地震での”縦揺れ”と地震波の”縦波”を混同(同一視)して解説していた。

確かに混同しやすいが、間違った情報を世に広めてもらっては困るので、ここで訂正をしておきたい。

縦揺れ/横揺れは、人間が立っている地点での地面の揺れの方向の話で、垂直軸での揺れが”縦揺れ”で、水平軸での揺れが”横揺れ”であることは問題ない。

一方、縦波/横波は、地震波の進行方向に対する区分けで、体感的な揺れの方向の話ではない。
縦波は、地震波の進行方向に、いわば前後(≠上下)に揺れる波で、だから波の進行速度が速いのでP(プライマリー)波と言われ、観測点にまっさきに到達する。
ただ地面を揺らす力は弱く、体感されずに、緊急地震速報として通知されてはじめてわかる程度。

一方横波は、地震波の進行方向に直角に揺れる波(地震計が左右にぶれる波)で、こちらは地面を揺らす波で、そのかわりP波より遅く、S(セカンダリー)波と言われる。

つまり、縦揺れ・横揺れと、縦波・横波とは定義が全く異なる別の現象(防災士の教材に載っている)。

ということは、われわれが感じる地面の揺れは、縦波ではなく横波に限った話。

次に、横波による縦揺れ(上下動)と横揺れ(左右動)の話に移る。

震央(震源の地上)では、たとえば今回のような逆断層型※(押す力による破壊)の地震なら、下から突き上げる”縦揺れ”から始まるが、震源から離れて水平方向から地震が来るところでは”横揺れ”がメインとなってもおかしくない(高層ビルが左右に揺れる)。
※:地震は地下の断層活動で、正断層・逆断層は鉛直のズレ、横ずれ断層は水平のズレを発生される。

たとえば海の波(=進行波)では、目に見える上下動の波が縦揺れで、その波を進行させる潮流が横揺れに相当する(もう縦波・横波の話ではないからね)。
足がつく海水浴場で、やってくる波を受けると、上下動とともに進行方向へ押す動きの両方の力(揺れ)を感じるはず。
このように震央以外の水平方向から伝わってくる地震の揺れは、縦揺れと横揺れが混ざった力であるから、「今のは縦揺れだった」とかいう住民のコメントは、主観的印象(どちらに敏感か)にすぎないので、私は聞き流す事にしている。
どちらの要素が強かったかは、地面の亀裂や段差、理想的には鉛直動と水平動を別個に計測する地震計などの客観的証拠が必要だ。


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