今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

熊谷のクレームについて

2013年08月26日 | お天気

「暑さ日本一」の座をかけての熾烈な争いは、何しろ、0.1℃きざみの最小差の凌ぎ合いなのだから、
外野からは面白半分、あきれ半分で見られている。

といっても当事者たちにとっては、日本の小中学生にはギネスブックより馴染のある
理科年表』にその名が堂々と記載されるか否かの重大問題である。
気温だけでなく、心までもヒートアップするのは仕方ない。
実際、一昨日、多治見市の職員の方に日本一でなくなった感想を尋ねたら、やはり残念だと言っていた。

ご存知の通り、熊谷(埼玉)と多治見(岐阜)がトップを分け合っていた中、最近になって頭角を現してきた群馬の館林が加わった三つ巴の争いの外から、ダークホース高知・四万十市の江川崎が41℃の大台をクリアしてしまった。
といってもその差は0.1℃。

私もブログで、これら地域の地理的条件を論じたが、
一番悔しがっている熊谷(何しろ、日本一暑いことがアイデンティティとなっていた)では、
もっとミクロなレベルの”不公平”が問題視されている。

それは気温を測る地面である「露場」(ろじょう)の違いの問題だ。
クレームをつけているのは熊谷で、その対象は館林・多治見・江川崎。
熊谷の観測地は有人の地方気象台で、きちんとした土に芝の露場となっている。
それに対し、他の3地点はいずれも無人のアメダスで、温度計の高さこそ、1.5mの規定を保っているが、
地面が土の芝ではななく、ほとんど裸地で、しかもアスファルト面がすぐ近くまできているという。
すなわち、地面が気温以上に熱せられる状態なわけだ
(ただし温度計部分はいずれも直射日光が当たらないよう通風性のあるもので覆われている)。

そもそも気温観測が「地上1.5m」と指定してあるのは、
その高さだと地表面の輻射熱の影響を受けないとされているからである。
実際、自分の私設気象台でも、設置場所がやたら輻射熱が強いコンクリの地面だったので、
地表から測器のある1.5mの高さまでの温度分布を測定してみたら、
1.5m上では地面の熱の影響を受けない事を確認した。
ただ、その影響は絶対に0.1℃を超えないのかと問い詰められれば、
常時温度分布を観測しているわけではないので、返答に窮す。

といっても、多治見や館林が高い気温を記録するようになったのは、熊谷よりも遅く最近で、
最近になってそれらの露場が急に裸地化したわけではなかろう。
だからこれらの地の最近の高温化は、露場が原因ではないはず。

むしろ空気中の”気温”としてならば、1.5m下の地面よりも、
都市としてのヒートアイランドの方が影響があるはずだ。
その意味では、新幹線も停車する都市規模の熊谷市の方が、
他の3ヶ所よりもヒートアイランドの恩恵を受けているはず。
最近になって多治見の観測値が高温化したのも、都市化の影響と分析されている(気象学会誌の論文による)。

そういえば、日本一になる前の熊谷は、その暑さが東京のヒートアイランドを運ぶ南風によるものなので迷惑顔だったよな。

いずれにしても、環境条件が統一されていないのは確かだ。
だからといって、「地方気象台と無人アメダスの値を同列に論じるべきでない」と言われても困る。
全国のアメダスや気象台の気温を比較する場合、
0.1℃程度の差は誤差の範囲内として問題にすべきでないことが前提のはずだから
(実際、観測器の測定誤差は±0.1℃くらいなはず)。

それがまさか「日本一」の座をかけて、誤差範囲である0.1℃の争いを数ヶ所ですることになろうとは、
気象庁も予測できなかったろう。
人の心は、天気より測り難いということか(w)。

「多治見のアメダスを確認」
☞「館林の気温はズルいか、検証してみた
熊谷のアメダス訪問記

 

 


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