今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

学生との関係

2009年12月10日 | お仕事
大学での休み時間、廊下で、向うからやってきた学生(私にとっては初対面)が私に向かって
「先生、なんで高校の時のように親しくしてくれないの?」と言ってきた。
思いもしない問い掛けに、答えに窮した。
いや、実に痛いところを突かれた。

大学での教員と学生との関係(距離)は、高校よりもずっとクールなものになってしかるべきだと思っていたが、
学生は必ずしもそう望んでいないようだ。
また少なくともウチの大学は、一般的に教員と学生との距離が近い事が、
学生たちにとって長所になっているらしい。
女性は、対人関係的な居心地の良さを重視するから。

かくいう私も、以前は、ゼミの学生たちと旅行(海外)に行ったりして、それなりに親しくしていた。
ところが最近は、学生との接点を最小にして、表面的に接している感じ。
(時間を惜しむということではなく、心理的距離をとってしまうという事)。
セクハラ的誤解を避けようとするため(距離をおいた方が安全)でもあるが、
それだけでなく、
最近の私立大学の、学生を”お客さん”扱いする風潮に流された結果でもある。
すなわち、学生に対して、”我が教え子”という身内意識ではなく、
”顧客”という他人意識で接するようになってしまった。
学校をビジネス社会の論理で割り切ろうとしていた。
業務でやっているのだから、特別に感謝される筋合いではないと、
”恩師”と呼ばれるのを拒否していた。

そういえば、先日の高校の同窓会で、数十年ぶりに再会した当時の先生方が
在学当時のわれわれの事を細かく覚えていらしたのを知って、私自身嬉しく感じたばかり。

教師と学生との関係は、学生時代の友人関係と同様に、
社会人になってからは得られない、特別のものであるべきなんだろう。
そういう特別な関係になれる幸運・恩恵を、自ら拒否してしまったようだ。