今週から、勤務先の大学でもやっと授業開始。
ただし当然、遠隔授業という指定。
遠隔授業をやるに当って、事前に受講生にネットで、自宅の通信環境のアンケートを取った。
もともと大学独自のネット教育システムがあるので、それを利用した。
その結果、受講生はパソコンかスマホ・タブレットのいずれかを持ってはいるが、通信容量が無制限でない一定限度契約、たとえば学生個人がwifi契約しているような場合だが、そういう学生が1人以上いる。
この学生は、オンライン授業を受けるだけで、どんどん使用制限に近づく。
なので、授業のほとんどをオンデマンド型にして、授業教材を任意な時にダウンロードし、任意な時にそれで勉強してもらうことにした(私以外のほとんどの授業がそう)。
もともと授業はプレゼン画面でやっていたので、画像ファイルはそれを静止画のpdfにすればいい。
その画面を説明する音声は別個に作成するのだが、私はコンピュータのテキスト読み上げ音声エージェントを使ってみた。
自分の声を大勢に配信する勇気がないのも理由の1つだが(これではYoutuberにはなれない)、パソコンのテキスト読み上げ機能を堪能したいという気持ちがあったため。
昔なら、コンピュータが喋る声って、 「2001年宇宙の旅」のHAL や「ワレワレハ、宇宙人ダ」的ないかにも機械的だったが、Macに無料でついてくる Kyokoの声はほぼ普通の女性。
ただセリフが棒読みなのは仕方ない(人間だって素人はそうなる)。
遠隔授業のメインに使ったのは、大学からのお達しでGoogle Classroom。
大学のサーバーを使わないで済むため。
確かに複数のクラス(授業)を一画面に並べることができて、使いやすい。
なにより、Meetと連繋して、オンライン授業がやりやすい。
なので教員同士の会議もこれを使っている。
しかもクラスごとの課題や掲示板をまとめられるので、Zoom単体より便利。
ただ、WordやExcelなどのMicrosoftのアプリと相性が悪く(文字化けする)、Googleオリジナルのアプリを使わせようとするのが難点。
もっともパソコンを持っていない学生にはその方がいいか。
ただ、さすがのGoogle Classroomも、大学全体で使ってしまうと今週だけで幾度が回線がパンクし、繋がらなくなった。
遠隔授業でネットが繋がらないのは致命的。
なので、その授業は休講となった(私の授業は大丈夫)。
かように、苦労が多いが、使い慣れたらすごい可能性が拡がる気がする。
まず、大学の授業の時間・空間的制約がなくなる。
昼間仕事のある社会人や、大学の所在地から遠い人も授業を受けられる。
言い換えれば、通学の手間を省ける。
そして生のダラダラした授業のネット版ではなく(つまらない動画の視聴限界は5分)、むしろ受講者に能動的に情報探索させることで、教育効率が上がる気がする。
学生からの発信も声でなく文字なので、ネットのコメント感覚で質問やコメントを発しやすくなる。
すなわち教員とのコミュニケーションはむしろ増える。
テストも作りやすく、採点・集計は自動でやってくれるので、毎回出せる。
逆に言えば、生の90分授業(大教室の講義)って教育効率が悪い典型だ。
ただ、学校が担う、教育とは別の重要な役割は失われる。
友人を作ること。
これは空間の共有、共在の時間が必要だ。
もっとも、人との出合いは別の社会組織、対面が前提の組織に移してもいいか。
たとえば、現代社会が潰しかけている”地域社会”とか。
とにかく、遠隔授業をやり終えた頃、教育現場は元に戻ることはないだろう。