宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
○はじめにーある考え方の誕生
「イリノイ州のマコムというのは、いったいどのあたりにあるのですか。」と尋ねられることがしばしばある。
「マコムはイパバと、ミシシッピー川にはさまれた地域で最も大きな町ですよ。」というのが私の返答である。
イパバ、人口約600人。そこは子供時代の活動の中心地である。8年生といえば男の子がたった一人いるだけなので、自動的にその子が、その田舎の学校の卒業生総代となるようなところだった。
わが家は町の南方32マイルばかりのところにあり、1940年代初期のほとんどの田舎の家庭と同じように、電気や水道の設備はなかった。鶏小屋と道路の間にある人目につきやすく建っているわが家の離れは、そこを通りがかる人を驚かせ、また喜ばせもした。というのは、その離れの屋根には父の製作になる風力充電器が取り付けられていたのである。この風力充電器はフォードA型自動車の発電機に、その前方には巨大なプロペラを、そして後方には風見を付け加えて作ったものだった。
風が吹くとプロペラが発電機を回転させ、次にこの発電機がわが家のラジオの電池を充電するために、電気を発電する仕掛けになっている。風の強いときには、まるで離陸寸前のヘリコプターのだすようなすさまじい音がした。(強風がやってきたときには、暗がりで寒さの中で、そこに座っているのには、かなりの勇気が必要だった。)