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山田歯科エクセレンスクリニック:山田忠生の歯医者人生&文化活動人生

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■ゆめ機構・代表 

手腕家物語ー最終回

2011-12-20 | 手腕家ーあなたにその方法を教えてくれる物
宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生


「よくわかった、ビル。朝になればボーイにその青い壺を渡すことにしよう。私はそれを雑貨屋で15セントで買ったんだ。

それじゃ、しばらく上の寝台にあがって、手に入れた休息をとるがいいだろう。」

「リックスさん、あなたはサンタバーバラの結婚パーティに出席されるのではないですか。」

「そうじゃないのだ、ビル。ずっと以前から私にとっては町の外に出て、できるだけゴルフを楽しむのが、ふさわしいことだとわかっていたのだ。その上、青い壺の捜索者が獲物を届けそこなったら、1週間は事務所にいない方が賢明だと考えていた。

ところでだ、ビル。一体、ゴルフというゲームはどんなものなのかね。ああ、そうだった。すまないことをした、ビル。お前の左腕のことを忘れていた。」

「どういたしまして。」 ビル・ペックは返答した。「私にはこの片方の腕で十分に間に合います。」

「しかしだ、やってみたことはあるのかね。」

「いいえ、ありません。」

ビル・ペックは真剣な表情で答えた。 「しかし、…やり遂げます。」

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手腕家物語ー次回最終回

2011-12-06 | 手腕家ーあなたにその方法を教えてくれる物
宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生


ペック兵は考え込みながら話した。「かつて旅団長と二人で、はじめて待避壕の入り口にいたことがありました。そこは指揮官の待避壕でした。そして彼らは降伏しなかったのです。そこで爆弾を投げ入れ私たちは逃げました。指輪をした指を発見したとき、旅団長はそのままにしておけば、誰かが盗っていくだろうと言いました。そのときの指輪を小切手の保証にしてきたのです。」

「しかし、2000ドルもの壺を購入する勇気をどうして持てたのかね。値段が法外だとも、あるいは私がその取引を拒否するかもしれないとも思ってみなかったのか。」

「決してそうは思いませんでした。あなたは部下の行動に責任をとられます。あなたは本当に誠実な人で、私の行動を拒絶されたりしないはずです。あなたは何をするべきかは話されましたが、どのようにそれをするべきかも指示して、私の能力を無視するようなことはされなかった。

あの亡くなった旅団長がドイツの狙撃兵を捕えるために私を送り出したときには、反対に私が狙撃兵に捕えられるなどという可能性は考えもしなかったのです。旅団長は私に狙撃兵を捕えるように話しました。その使命を実行し、目的を完了させることが私の仕事でした。もちろん、私の方がドイツ兵に捕まれば、できなかったということです。」



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手腕家物語ー70

2011-11-15 | 手腕家ーあなたにその方法を教えてくれる物
宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生


ビル・ペックは、その崇拝する人の名前を告げた。

「おお、神よ。なんということだ。」 カピー・リックスの声には畏敬の響きが、そして年老いた眼には崇敬の輝きがあった。続けて、こう語った。

「25年前の、お前の旅団長は私の会社の要職につく候補者だった。そのとき、私は青い壺作戦を彼に実行したのだ。ところが、彼はうまく、それも適正な方法でその壺を手に入れることができず、ショーウィンドーに石を投げ、壺をつかんで逃走したが、1マイル半も行かないうちに警官に捕まった。

その件を清算し、内密におさめるのに高くついたものだ。しかし、私はジャマをするつもりはなかったので、彼の想いのままにさせたのだ。ところで教えてくれないかね、ビル。どうして壺の代金の2000ドルを工面したのかね。」



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手腕家物語ー69

2011-10-31 | 手腕家ーあなたにその方法を教えてくれる物
宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生


旅団長はそんな私を勇気づけようとしました。“どうしたペック兵。君はまだ半分しか死んでいないじゃないか。国へ帰って、あとの大切な半ダース分の人生を送るのではないのかね。”

けれども私はとても疲れていたので、そんなことは考えられないと話しました。すると、私に鋭い眼差しを向け、こう言いました。 “ペック兵は回復に最大限の努力をするであろうし、その手始めとして先ずはほほ笑むであろう。”

もちろん、慣例に従えば私はいつも通りの返答をしなければならなかったのです。そこでにこやかに笑い、こう言いました。

 “わかりました。やり遂げます。”

旅団長は実に男らしい人でした。それに彼の旅団には一本の精神が通っていました。彼の精神が…。」

「わかった、ビル。その旅団長の精神が生き続けているというわけだな。いったい。その旅団長は何という人だ。」



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手腕家物語ー68

2011-10-13 | 手腕家ーあなたにその方法を教えてくれる物
宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生


「陸軍では団結心は下から湧きおこるものではありません。上から下へと広がっていくものです。組織とは良くも悪くも指揮官そのものです。私の隊では曹長が二等兵に一週間の炊事当番を与えたとき、その二等へ二はにこやかに笑って、“わかりました、やり遂げましょう。”と言えなければ、幸運は訪れないのです。」

「旅団長の命令で、あるドイツの狙撃兵を捕まえに行くことになりました。私はかなり運がよかったのです。ときには窮地に陥ったこともありましたが、旅団長はそういう私のことを聞いていたのです。地図を広げ、こう言いました。“隠れているのはこの辺りだ。ペック兵、行って捕まえてくるのだ。” リックスさん、私はそこですぐ行動を起こし、捧げ銃をして、“やり遂げます。”と言いました。

そのときの旅団長の向けた眼差しを忘れることはありません。旅団長はその戦いのあとで野戦病院に入っていた私を見舞いに来てくれました。私はわかっていました。左腕をまったく無くしており、左脚もいずれ私のものではなくなると感じておりました。落胆した私は、死のうと考えておりました。



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