宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
Dr.クレインの使用する教科書はその目的では書かれていなかったので、ルーズリーフに手書きのものを持ってきていたが、それが後に彼の著書「応用心理学」となる。彼のコースが私にとって夏のノースウェスタンのハイライトとなった。専門家のための自分自身と患者とに関係した心理学がそのコースの中心だった。カール・ユングの業績、つまり人格を内向性、外向性、両向性、そして補償型に分類した考えを教えられた。また、ビネー・シモン式知能検査も扱った。それは1905年に子どもの知的能力を判定するために開発されたものである。1918年には成人の”精神力”(I.Q.として知られている)の最初のテストが開発された。私が患者の知的、社会的、経済的分類と同様に、デンタルI.Q.の発想を得たのはそこからである。
Dr.クレインは調和のとれた人生を強く提唱しており、真に充実した人生のためには、仕事、遊び、愛、そして礼拝のバランスをとる必要性を強調する”人生の十字”について話し合うのに多大の時間を使った。ここで始めて、私は”人生の十字”を歯科医業に適用することを考え付いた。”あなた自身を知りなさい”と、”あなたの患者を知りなさい”が、十字の最初の腕になった。その後に、第3の腕”あなたの仕事を知りなさい”を付け加えたが、これは技術的能力(実践能力)と哲学そのものの知識という2つの重要な分野から成っている。第4の腕”あなたの知識を応用しなさい”は、あなた自身、患者、そして仕事に関する知識を、やりすぎや、やりなさすぎによる過ちを無くしながら適用し、そして患者に最適の歯科的健康サービスを与えるということを心から誓い、そして収斂することを包含している。
私は常々、おそらく技術は哲学の前に身につけるべきだと話している。というのは不可能ではないにしても、できもしないことを売るということは非常にむずかしいからである。他方、歯科医師にとって自分の仕事を知っていながら、患者から信頼を得るのに必要な哲学をもっていないということは失望感を味わうことになる。実際、技術と哲学の両方が最適の歯科医学を実施するのに等しく必要であり、学習していくのに最も大切なものの一つには、自分の最も弱点とするものがある。インスティテュートが教育プログラムの中で両者を強調するのはそのためである。